アハラノフ・ボーム効果(AB効果)とは、磁場のない所を通る電子でも、通り道に囲まれた磁束によって波の位相がずれる量子力学の現象です。1986年に日立製作所の外村彰らが電子線ホログラフィーで実証しました。微小なリング構造では磁束に応じて抵抗が周期h/eで振動し、電子の位相が保たれる距離を測る手段になります。
目次6項目
- 定義・解説
- 図解
- よくある質問
- 設備の製造メーカー
- 関連用語
- 比較・違いを学ぶ
定義・解説
アハラノフ・ボーム効果(AB効果)とは、電子が磁場のまったくない場所を通っていても、その通り道に囲まれた領域に磁束があると、電子の波の位相(波の山と谷のタイミング)がずれるという量子力学の現象です。1959年にY. アハラノフとD. ボームが予言しました。古典物理学では、磁場のない所を通る電子は磁場の影響を受けないはずなので、電磁気学の「ベクトルポテンシャル」が物理的な実体を持つことを示した現象として知られています。
AB効果は長く論争の的でしたが、1986年に日立製作所の外村彰らが、電子線ホログラフィーを使い、超伝導体で磁場を完全に閉じ込めた微小なリングの実験で決定的に実証しました。電子顕微鏡の技術が基礎物理の検証に使われた代表例です。
半導体や金属の微小なリング状の構造(メソスコピック系)では、リングの両側を通った電子の波が出口で干渉するため、リングを貫く磁束を変えると電気抵抗が周期的に振動します(周期は磁束量子 h/e)。この振動は、電子が波の性質(位相)を保ったまま進める距離(位相コヒーレンス長)を測る手段になり、量子デバイスやトポロジカル物質の研究で使われています。
図解
振動が見えるのは、電子が位相を保てる距離がリングより長いとき。よくある質問(FAQ)
AB効果はなぜ重要なのですか?
古典物理学では計算のための道具と考えられていたベクトルポテンシャルが、電子の波の位相を通して実際に観測できる効果を持つことを示したからです。量子力学では、電場や磁場よりもポテンシャルが基本的な量だと考える根拠の1つになりました。
AB効果は半導体デバイスと関係がありますか?
直接の製品というより、微小な構造での電子の波の性質を調べる手段として使われます。微小なリングの抵抗の振動から、電子が位相を保てる距離(位相コヒーレンス長)を測れ、量子コンピュータの素子や量子干渉を使うデバイスの研究の基礎になっています。
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