SC1(APM)とSC2(HPM)の違い

1960年代に米RCA社で開発されたRCA洗浄は、今も半導体の洗浄の基本です。その中心となるSC1とSC2は、名前が番号違いなだけでよく似て見えますが、薬液の性質も取り除く汚れも正反対に近い関係にあります。ここでは2つの違いと、なぜ組み合わせて使うのかを整理します。

最終更新: 2026-10-03

結論:SC1(APM)とSC2(HPM)の違いは?

SC1とSC2は、RCA洗浄を構成する2つの薬液洗浄です。SC1(APM)はアンモニア水・過酸化水素水・超純水の混合液で、シリコン表面をわずかに溶かしながらパーティクルと有機物を取り除きます。SC2(HPM)は塩酸・過酸化水素水・超純水の混合液で、アルカリ金属や鉄などの金属汚染を溶かして取り除きます。アルカリ性のSC1では金属が表面に付きやすいため、その後に酸性のSC2で金属を落とす、という順序で組み合わせて使われます。

比較表

SC1(APM)SC2(HPM)
SC1(APM)とSC2(HPM)の観点別比較
観点SC1(APM)SC2(HPM)
組成NH₄OH+H₂O₂+H₂O(アンモニア過水)HCl+H₂O₂+H₂O(塩酸過水)
古典的な混合比1:1:51:1:6
液の性質アルカリ性酸性
処理温度の目安70〜80℃前後70〜80℃前後
主な除去対象パーティクル、有機物アルカリ金属、鉄・ニッケルなどの金属
シリコンへの作用わずかにエッチングし、化学酸化膜を作るシリコンはほとんど溶かさない
副作用金属が付着しやすい、表面が荒れやすいパーティクルは除去しにくい

SC1は「浮かせて離す」洗浄

SC1では、過酸化水素がシリコン表面を酸化し、アンモニアがその酸化膜を少しずつ溶かします。これを繰り返して表面をごくわずかに削ることで、表面に付いたパーティクルを下から浮かせます。さらにアルカリ性の液中では、パーティクルとウェハの表面がどちらもマイナスに帯電して反発し合うため、一度離れた粒子は再び付きにくくなります。有機物も過酸化水素の酸化作用で分解されます。一方、アンモニアの濃度が高すぎると表面が荒れるため、近年は大幅に薄めた希釈SC1が使われます。

SC2は「溶かして流す」洗浄

SC2は酸性の液で、表面に付いたナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属、鉄・ニッケル・亜鉛などの金属を、塩化物として溶かして取り除きます。SC1のようなアルカリ性の液の中では、鉄やアルミニウムなどの金属がむしろ表面に付きやすいため、SC1の後にSC2を行うことで、その金属を落とせます。SC2はシリコンをほとんど溶かさず、パーティクルを取り除く力も弱いため、SC1と役割を分担しています。

洗浄の順序と最近の変化

典型的な流れは、硫酸と過酸化水素のSPMで有機物やレジストの残りを除き、DHFで酸化膜を除き、SC1でパーティクルを、SC2で金属を取り除くというものです。それぞれの間には超純水のリンスを挟みます。近年は、薬液と超純水の使用量を減らすために薬液を大幅に希釈し、温度を下げ、オゾン水や機能水、メガソニックと組み合わせる方法が広がり、枚葉式の洗浄装置で1枚ずつ処理することも増えています。

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よくある質問

SC1とSC2はどちらを先に行いますか?▾
一般にSC1を先に行い、その後にSC2を行います。アルカリ性のSC1ではパーティクルや有機物がよく落ちる一方で、金属が表面に付きやすいため、その後の酸性のSC2で金属を溶かして取り除くという順序です。間には超純水のリンスを挟みます。
APMとHPMとは何ですか?▾
APMはAmmonia-Peroxide Mixture(アンモニア過水)でSC1の薬液、HPMはHydrochloric acid-Peroxide Mixture(塩酸過水)でSC2の薬液を指します。どちらもRCA洗浄の構成要素で、SC1・SC2とほぼ同じ意味で使われます。

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