マイクロラフネス(Microroughness)とは、ウェハなどの表面にある、原子レベルからナノメートル程度の高さの細かな凹凸(表面粗さ)のことです。ウェハの表面の形状は、凹凸の横方向の大きさ(空間波長)によって、ウェハ全体の反りや平坦度、数mm程度の範囲の起伏であるナノトポグラフィ、さらに細かいマイクロラフネスに分けて管理されます。鏡面研磨されたシリコンウェハのマイクロラフネスは、二乗平均平方根(RMS)で0.1nm前後と、原子1〜2個分ほどの小さな値です。
マイクロラフネスは、原子間力顕微鏡(AFM)で表面をなぞって直接測るほか、ウェハ全面ではレーザー光の散乱で測ります。表面に細かな凹凸があると光がわずかに散乱して、ウェハ全体がうっすら曇ったように見えるため、この散乱の強さをヘイズ(Haze)と呼び、パーティクル検査装置で同時に測定します。表面粗さの数値は、平均粗さRaや二乗平均平方根Rq(RMS)で表し、測る範囲や装置によって値が変わるため、条件をそろえて比較します。
マイクロラフネスは、デバイスの特性と工程の品質に影響します。シリコン表面が粗いと、その上に作るゲート酸化膜の厚さや絶縁の信頼性がばらつき、チャネルを流れるキャリアが界面の凹凸で散乱されて移動度が下がります。ウェハどうしを直接貼り合わせる接合では、表面が粗いと接合が弱くなりボイドが生じます。洗浄では、アンモニアと過酸化水素水を使うSC1洗浄がシリコンをわずかにエッチングするため、アンモニアの濃度が高いと表面が荒れることが知られ、薬液を薄めて荒れを抑えています。エピタキシャル成長や熱処理、CMPの条件もマイクロラフネスに影響します。