金属汚染とは、鉄・銅・ニッケル・アルミニウム・ナトリウムなどの金属不純物がウェハ表面や結晶内部に混入し、デバイス特性を劣化させる現象と、その管理領域を指します。パーティクル汚染が「物理的に載っている異物」であるのに対し、金属汚染は原子レベルで表面に吸着し、あるいは結晶中を拡散していくため、目に見えず、除去も難しいのが特徴です。
デバイスへの影響は深刻です。鉄や銅は深い準位を形成して少数キャリア寿命を縮め、接合リーク電流を増やします。ゲート酸化膜中に取り込まれれば耐圧(GOI)を落とし、ナトリウムなどの可動イオンはしきい値電圧を経時変化させます。イメージセンサでは暗電流の増加、パワーデバイスでは特性ばらつきとして現れます。管理レベルは表面濃度で10¹⁰atoms/cm²以下という桁です。
混入経路は多岐にわたります。薬液・超純水・特殊ガスに含まれる微量金属、配管やバルブなど装置部材からの溶出、イオン注入や成膜時のチャンバー部材のスパッタ、CMPスラリー、そしてウェハ搬送時の接触や作業者由来のものまであります。上流の材料純度と、装置内で金属に触れさせない設計の両方が必要になる理由です。
対策は三層構造です。①持ち込ませない:高純度薬液・ガスの使用、樹脂配管、部材の材質選定。②除去する:SC-2(HPM)洗浄やDHF洗浄で表面の金属を溶解除去する。③無害化する:ゲッタリングによって、拡散してしまった金属をデバイス活性領域から引き離し、BMDや裏面の捕獲サイトに固定する。どれか一つでは守りきれません。
測定には、表面の全反射蛍光X線分析(TXRF)と、より高感度なVPD-ICP-MS(気相分解と誘導結合プラズマ質量分析の組合せ)が使われます。定期的にモニタウェハを流して装置ごとの金属汚染レベルを監視し、規格を超えた装置はPMや部材交換の対象になります。パーティクル管理と並ぶ、ファブの清浄度管理の二本柱です。