アンダーソン局在とは、原子の並びが乱れた物質の中で、電子の波が反射と干渉を繰り返して狭い場所に閉じ込められ、動けなくなる現象です。乱れが強いと、状態はあっても電気を通さなくなります。アモルファスシリコンのバンドテールとホッピング伝導を説明する基本の考え方で、TFTの移動度が低い理由にもつながります。
目次5項目
- 定義・解説
- 図解
- よくある質問
- 関連用語
- 比較・違いを学ぶ
定義・解説
アンダーソン局在とは、原子の並びが乱れた物質の中で、電子の波が乱れによって何度も反射されて干渉し合い、ある狭い場所に閉じ込められて動けなくなる現象です。1958年に米国の物理学者P. W. アンダーソンが理論的に示し、1977年のノーベル物理学賞の対象になりました。
通常の結晶では、電子は結晶全体に広がった波として動けるため電気を通します。ところが乱れが強くなると、エネルギーの状態は存在していても電子が局在して移動できなくなり、物質は絶縁体のようにふるまいます。動ける状態と局在した状態の境目のエネルギーを移動度端と呼び、乱れの強さによって金属から絶縁体へ移り変わる現象(アンダーソン転移)が起こります。
半導体では、アモルファスシリコン(a-Si:H)を理解するための基本の考え方です。アモルファスシリコンのバンドの端には局在した状態が裾のように広がり(バンドテール)、電子はそこをホッピングで移動するため、結晶シリコンより移動度が大幅に低くなります。液晶ディスプレイのアモルファスシリコンTFTが、多結晶シリコンや酸化物のTFTより遅いのもこのためです。弱い乱れで現れる前兆(弱局在)は、薄い金属膜の磁気抵抗の測定でも観測されます。
図解
1958年にP. W. アンダーソンが理論的に示した。よくある質問(FAQ)
アンダーソン局在とモット転移の違いは何ですか?
どちらも金属が絶縁体に変わる現象ですが、原因が違います。アンダーソン局在は原子の並びの乱れによる電子の波の干渉が原因で、モット転移は電子どうしの反発が原因です。実際の物質では両方が同時に効いていることもあります。
アモルファスシリコンの移動度が低いのはなぜですか?
原子の並びが乱れているため、バンドの端に局在した状態が多くでき、電子がそこにとらわれては熱の力で飛び移る(ホッピング)ことを繰り返すからです。結晶シリコンの電子の移動度が約1,400cm²/V·sなのに対し、アモルファスシリコンでは約1cm²/V·s程度にとどまります。
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