用語熱処理装置成膜装置最終更新 2026-10-10出典 1件Excel・PDF版

LTPS(低温ポリシリコン)とは

Low-Temperature Polycrystalline Silicon

LTPS(低温ポリシリコン)とは、ガラス基板が耐えられる約600℃以下で作る多結晶シリコン膜です。アモルファスシリコンをエキシマレーザーで瞬間的に溶かして結晶化させ(ELA)、移動度を50〜200cm²/Vs程度まで高めます。スマートフォンの液晶・有機ELディスプレイの画素を駆動する薄膜トランジスタに使われます。

目次6項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 関連用語
  5. 比較・違いを学ぶ
  6. 出典・参考資料

定義・解説

LTPS(低温ポリシリコン)とは、ガラス基板が耐えられる600℃程度以下の低い温度で作る多結晶シリコン膜のことです。主にスマートフォンなどの液晶・有機ELディスプレイで、画素を駆動する薄膜トランジスタ(TFT)のチャネル材料として使われています。

ディスプレイのTFTには、従来アモルファス(非晶質)シリコンが使われてきましたが、電子の移動度が1cm²/Vs程度と低く、小さなトランジスタで大きな電流を流せません。LTPSは結晶粒からなる多結晶のため移動度が50〜200cm²/Vs程度と大幅に高く、トランジスタを小さくして画素の開口率を上げたり、画面の周辺に駆動回路を一緒に作り込んだりできます。

製造では、まずガラス基板の上にCVDでアモルファスシリコン膜を付け、そこにエキシマレーザーを短いパルスで照射して膜を瞬間的に溶かし、冷え固まるときに結晶化させます。この方法をエキシマレーザーアニール(ELA)と呼び、ガラス基板はほとんど加熱されないため、低温のまま多結晶膜が得られます。結晶粒の大きさや境界のばらつきが、TFTの特性のばらつきや表示ムラに直結するため、レーザーの照射条件の管理が重要です。

LTPSは高精細で消費電力の小さい中小型ディスプレイに向いており、有機ELではLTPSと酸化物半導体(IGZOなど)を組み合わせたLTPOという構成も使われています。一方で、レーザー結晶化の装置コストや、大型基板で均一に結晶化する難しさから、大型テレビではアモルファスシリコンや酸化物半導体が主に使われています。国内では、ジャパンディスプレイ(JDI)などがLTPSディスプレイを手がけてきました。

半導体の製造工程でも、トランジスタのゲートや3D NANDのチャネルにポリシリコンが使われますが、これらはシリコンウェハ上で高温の炉やCVDで作るもので、ガラス基板上で作るLTPSとは製法が異なります。

図解

LTPS(低温ポリシリコン)の作り方(アモルファスSi・エキシマレーザー・多結晶化・TFT)
約600℃以下で作ることから「低温」と呼ぶ。

よくある質問(FAQ)

LTPSとアモルファスシリコンの違いは何ですか?
結晶の状態と、電子の流れやすさが違います。アモルファスシリコンは原子の並びが不規則で、移動度は1cm²/Vs程度です。LTPSは小さな結晶粒の集まりで、移動度が50〜200cm²/Vs程度と大幅に高いため、トランジスタを小さくでき、画面の周辺に駆動回路を作り込めます。その代わりレーザー結晶化の工程が必要で、コストは高くなります。
LTPOとは何ですか?
LTPSと酸化物半導体(IGZOなど)のトランジスタを、同じディスプレイの中で組み合わせた構成です。電流を流す能力の高いLTPSと、オフ時のリーク電流が非常に小さい酸化物半導体を使い分けることで、表示を書き換える頻度を下げて消費電力を抑えられるため、スマートウォッチやスマートフォンの有機ELで使われています。

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. レーザー学会「次世代ディスプレイへのレーザーアニール技術(レーザー研究 39巻9号)」(2026/10/10 確認)