最終更新 2026-10-10

カーフロスとは(切り代)

Kerf Loss

カーフロス(切り代)とは、切断で粉になって失われる材料の幅です。ダイヤモンドワイヤーで0.1〜0.2mm程度あり、完成ウェハの厚み(300mmで775μm)に匹敵するオーダーのため、材料の1割以上が切断だけで消えます。ワイヤーの細線化、ウェハの薄化、レーザースライシングへの転換が削減の3つの方向で、特にSiCでは死活的な課題です。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

カーフロス(切り代)とは、切断によって削り取られ、粉状の廃棄物として失われる材料の幅のことです。ウェハ製造では、インゴットをワイヤーソーでスライスする際に、ワイヤー径+砥粒分の幅がそのまま消失します。ダイヤモンドワイヤーで一般に0.1〜0.2mm程度で、これは完成ウェハの厚み(300mmウェハで775μm)に匹敵するオーダーです。

カーフロスの経済的な意味は明快です。厚さ775μmのウェハを取るのに150μmを捨てるなら、材料の約16%が切断だけで消えます。インゴット1本から取れる枚数は「有効長 ÷(ウェハ厚 + カーフ + 研磨取り代)」で決まるため、カーフを削ることは、追加の原料を買わずに生産枚数を増やすことと同義です。

削減の方向は3つあります。①ワイヤーの細線化:ダイヤモンドワイヤーの芯線を細くして切り幅を詰める。ただし細いほど断線リスクと張力管理の難易度が上がります。②ウェハの薄化:ウェハ自体を薄くすれば同じ長さから枚数が増えますが、反りとハンドリング破損の限界があります。③切断方式の転換:レーザースライシングのようにカーフをほぼ発生させない手法へ置き換える。

カーフロスがとりわけ深刻なのはSiCです。SiC基板は材料そのものが高価なうえ、インゴットが短く(数十mm)、硬いため切断が遅く、さらに切り代も相対的に大きくなります。レーザーで内部に改質層を形成して薄く剥ぎ取る手法が積極的に開発されているのは、カーフロス削減がそのままSiCデバイスのコスト競争力に直結するためです。

なお、切断で発生したシリコン粉(カーフスラッジ)は砥粒・切削液と混ざっているため、そのままでは高純度原料として再利用できません。回収・精製技術の研究は続いていますが、コストが見合わず廃棄されるのが一般的で、この点でもカーフの発生自体を減らすアプローチが優先されます。

図解

カーフロス(切り代)の現状と、減らす3つの方向
高価なSiCでは、切り代の削減が特に大きな課題。

この用語を扱う職種

後工程(実装・テスト)ダイシング・薄化エンジニア

よくある質問(FAQ)

カーフロスはどのくらいの割合になりますか?
厚さ775μmの300mmウェハに対しダイヤモンドワイヤーの切り代が0.1〜0.2mm程度なので、切断だけで材料の1割以上が粉になって失われます。さらに研磨の取り代も加わるため、インゴットからウェハになるまでの材料損失は無視できない規模です。
切断で出たシリコン粉は再利用できないのですか?
砥粒や切削液と混ざっているため、そのままでは高純度の原料として使えません。回収・精製技術の研究は続いていますが、精製コストが原料価格に見合わないのが実情で、カーフの発生自体を減らすアプローチが優先されています。

設備の製造メーカー

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 精密工学会「ソーワイヤによる精密切断技術(精密工学会誌 73巻1号)」(2026/10/10 確認)
  2. ディスコ「KABRA:SiCウェーハメイキングプロセス新時代へ インゴットスライスの高速化・ウェーハ取り枚数増を同時に実現」(2026/10/10 確認)