オリフラ(オリエンテーションフラット)とノッチは、ウェハの外周に設けられた結晶方位と表裏を示す目印です。円形のウェハは外形だけでは方位が分からないため、直線状に削り落とした平坦部(オリフラ)や、V字の切り欠き(ノッチ)を基準として、装置がウェハの向きを機械的・光学的に検出します。
200mm以下のウェハでは主にオリフラが使われ、長い主オリフラで結晶方位を、短い副オリフラの位置関係で導電型(p型/n型)と面方位を示す規格が用いられてきました。300mmウェハではノッチが標準です。オリフラは面積の損失が大きく、直径が大きくなるほどチップの取り数に響くため、切り欠きの小さいノッチへ移行しました。
ノッチ・オリフラの加工は、インゴットの外周研削と同じ段階で行われます。X線回折で結晶方位を実測してから研削位置を決めるため、方位精度は角度で数分以内に管理されます。この基準がずれると、後のリソグラフィでパターンが結晶方位に対して傾き、異方性エッチングの形状やへき開時の割れ方に影響が出ます。
装置側では、EFEM内のアライナがノッチを検出してウェハの回転方向を揃えてから、各処理ステーションへ搬入します。ノッチの形状精度が悪いと検出に失敗して搬送エラーとなり、装置が停止します。またノッチ部はエッジの中でも応力が集中しやすい箇所であり、面取り(ベベル)の品質が悪いとここから割れやパーティクルが発生します。
結晶方位そのものの選択もデバイス設計に関わります。MOSトランジスタでは界面準位の少ない〈100〉面が標準ですが、正孔の移動度は〈110〉面で高くなるため、キャリア移動度を狙って方位を選ぶ設計も存在します。ノッチはその方位を製造ラインの隅々まで伝える、単純だが不可欠な情報伝達手段です。