GLOSSARY

COP(結晶起因ピット)とは

COP (Crystal Originated Particle/Pit)
最終更新:2026-08-17単結晶製造装置(CZ/FZ引上げ)材料

COP(結晶起因ピット)とは?

COP(結晶起因ピット)とは、CZ結晶中の過剰な空孔が凝集してできる数十〜200nmの八面体状ボイドです。ゲート酸化膜直下にあると電界が集中して耐圧(GOI)を落とすため、微細世代では致命的な欠陥になります。引き上げ速度と温度勾配の比(V/G)を制御した無欠陥結晶、水素/Arアニール、エピ層成長のいずれかで対策します。

定義・解説

COP(Crystal Originated Particle/Pit:結晶起因欠陥)とは、CZ法で育てたシリコン結晶中に生じる、サイズ数十〜200nm程度の八面体状の空孔集合体(ボイド)です。結晶成長中に過剰な空孔(原子が抜けた欠陥)が凝集して形成され、ウェハ表面に現れるとくぼみ(ピット)として観察されます。洗浄後のパーティクル検査で「粒子」としてカウントされることから、この紛らわしい名前が付いています。

COPが問題になる最大の理由は、ゲート絶縁膜の耐圧(GOI:Gate Oxide Integrity)を低下させることです。ゲート酸化膜の直下にCOPがあると、その部分だけ実効的な膜厚が薄くなったり電界が集中したりして、初期不良や信頼性不良の原因になります。ゲート絶縁膜が数nmまで薄くなった世代では、数十nmのボイドでも致命的です。

COPの発生は、結晶成長時の「引き上げ速度V/固液界面の温度勾配G」の比で決まります。V/Gが大きい(速く引き上げる)と空孔が過剰になりCOPが、小さいと格子間シリコンが過剰になって転位クラスタが発生します。この両者が発生しない狭い条件帯を狙って成長させたウェハは「無欠陥結晶(Perfect Silicon、パーフェクトクリスタル)」と呼ばれ、プレミアム仕様として扱われます。

COPを消す方法は主に3つあります。①V/G制御による無欠陥結晶の育成、②水素またはアルゴン雰囲気での高温アニール(表面付近のボイドを閉塞させる=アニールウェハ)、③エピタキシャル層の成長(COPをエピ層で埋めて表面を無欠陥にする=エピウェハ)。①はウェハ全体の品質を上げますが成長速度が犠牲になり、②③はコストが上乗せされます。

評価には、SC-1洗浄を繰り返してCOPを顕在化させてからパーティクルカウンターで数える手法や、レーザー散乱式の表面検査装置、赤外散乱トモグラフィが使われます。デバイスメーカーが求めるGOI水準に対して、どの方式でCOPを抑えたウェハを使うかは、ウェハコストとデバイス歩留まりのトレードオフとして判断されます。

この用語を扱う職種

前工程(ウェハプロセス)歩留まりエンジニア(YE)

よくある質問(FAQ)

COPは「パーティクル」なのですか?
いいえ。COPは結晶中に生じた空孔の集合体(ボイド)で、外部から付着した異物ではありません。ただしウェハ表面ではくぼみとして現れ、レーザー散乱式の検査装置がこれを粒子と区別できずカウントするため、Crystal Originated Particle という紛らわしい名前が付きました。
COPはなぜゲート酸化膜の耐圧を下げるのですか?
ゲート酸化膜の直下にボイドがあると、その部分だけ実効的な膜厚が薄くなったり電界が集中したりするためです。ゲート絶縁膜が数nmまで薄くなった世代では、数十nmのボイドでも初期不良や信頼性不良の原因になります。
COPを減らすにはどうすればよいですか?
①引き上げ速度と温度勾配の比(V/G)を制御して無欠陥結晶を育てる、②水素またはアルゴン雰囲気での高温アニールで表層のボイドを閉塞させる(アニールウェハ)、③エピタキシャル層で表面を覆う(エピウェハ)、の3つが主な方法です。それぞれ成長速度やコストとのトレードオフがあります。

設備の製造メーカー

信越化学工業日本

シリコンウェハ・フォトレジスト材料・塩化ビニルの世界的大手。半導体向けには300mmウェハとEUVレジスト材料…

企業詳細を見る →
SUMCO日本

シリコンウェハ専業の世界第2位メーカー。三菱マテリアル・住友金属鉱山のウェハ事業を統合し、300mmウェハを中…

企業詳細を見る →
Siltronicドイツ

シリコンウェハの世界3位メーカー(Wacker Chemie傘下)。300mm・200mm・150mmウェハを…

企業詳細を見る →
GlobalWafers(環球晶圓)台湾

台湾発の世界大手シリコンウェハメーカー。CZ法による300mmポリッシュド/エピタキシャルウェハを軸に、SOI…

企業詳細を見る →

関連カテゴリ

単結晶製造装置(CZ/FZ引上げ)
材料

関連用語

チョクラルスキー法(CZ法)とは →アニールウェハ(水素・Arアニール)とは →エピタキシャルウェハ(エピウェハ)とは →格子間酸素(Oi)とは →ゲート酸化膜とは →シリコンインゴットとは →歩留まり(イールド)とは →

同じトピックの用語

シリコンウェハ製造(結晶成長・スライス・研磨) のトピックで関連する用語です。

シリコンウェハ製造(ウェハプロセス)とは →種結晶(シードクリスタル)とは →ワイヤーソーとは →カーフロス(切り代)とは →オリフラ・ノッチとは →ベベル(面取り・エッジプロファイル)とは →レーザースライシングとは →ラッピング(遊離砥粒研磨)とは →

同じトピックの企業

SK Siltron韓国SoitecFRDISCO日本東京精密(Accretech)日本岡本工作機械製作所日本スピードファム日本

比較・違いを学ぶ

ラッピングと両面研磨(DSP)の違い
どちらもウェハの表裏を同時に加工して平坦度を作る工程ですが、狙いが違います。ラッピングはスライス痕と厚みばらつきを短時間で除去する粗加工、両面研磨(DSP)はリ
エピタキシャルウェハとポリッシュドウェハの違い
同じシリコンウェハでも、研磨しただけのポリッシュドウェハと、その上にエピタキシャル層を成長させたエピウェハでは、表層の素性がまったく違います。前者は「インゴット
CZ法とFZ法の違い(シリコン単結晶成長の比較)
CZ法(チョクラルスキー法)は石英ルツボの融液から種結晶を引き上げて単結晶を育てる方法、FZ法(フローティングゾーン法)はルツボを使わず帯溶融で単結晶化・精製す
300mmウェーハと200mmウェーハの違い(コスト・用途・設備の比較)
半導体製造ウェーハの直径(インチ数)はチップの製造コストと適用用途を大きく左右します。300mm(12インチ)ウェーハは先端ロジック・DRAM・NANDの大量生
← 用語集に戻る