最終更新 2026-10-09

SiCウェハとは(炭化ケイ素基板)

SiC Wafer

SiCウェハとは、SiCパワーデバイス製造用の単結晶炭化ケイ素基板です。融液からの引き上げができず、2000℃超で昇華させて再結晶させる昇華法で作るため成長が遅く、長く150mm口径が主流で200mmへの移行がようやく本格化した段階です。ベーサル面転位などSiC特有の結晶欠陥の低減と、ダイヤモンドに次ぐ硬度ゆえの加工コストが、価格を押し上げる要因になっています。

目次9項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連する製品
  7. 関連用語
  8. 比較・違いを学ぶ
  9. 出典・参考資料

定義・解説

SiCウェハとは、SiCパワーデバイスを製造するための単結晶炭化ケイ素の基板です。シリコンウェハと違い、SiCは融液から引き上げるチョクラルスキー法が使えず、2000℃を超える高温で昇華させて種結晶上に再結晶させる昇華法(改良レーリー法)で成長させます。

この製法上の制約から、SiCウェハは結晶成長が遅く、口径の拡大にも時間がかかりました。長らく150mm(6インチ)が主流で、200mm(8インチ)への移行がようやく本格化しつつある段階です。シリコンが300mmで量産されているのと比べると、1枚あたりの取れ数の差がそのままコスト差になります。

品質面ではマイクロパイプやベーサル面転位(BPD)といったSiC特有の結晶欠陥が課題です。とくにBPDは通電中に積層欠陥へ拡張してオン抵抗の経時変化を引き起こすため、エピタキシャル成長の段階で欠陥を変換・低減する技術が重要になります。

加工の難しさもコスト要因です。SiCはダイヤモンドに次ぐ硬度を持つため、スライスと研磨に時間がかかり、材料損失も大きくなります。レーザーで内部に改質層を作って薄く剥ぎ取る手法など、切り代を減らす加工技術の開発が進んでいます。供給側では、Wolfspeed、レゾナック、住友電気工業などが主要なプレーヤーです。

図解

SiCウェハ(炭化ケイ素基板)が高価で難しい理由(成長・欠陥・加工・口径)
EVのパワー半導体の需要で、各社が増産と大口径化を進めている。

紛らわしい言葉の切り分け

SiCとシリコン。違いは高い電圧への耐えやすさです。SiCはバンドギャップがシリコンの約3倍、絶縁破壊電界が約10倍あるため、同じ耐圧のデバイスを損失を小さく作れ、熱にも強くなります。一方でSiCのウェハは小口径で高価なため、高耐圧で損失の低減に価値がある用途で使われます。 比較記事 →

関連するデータ・ツール

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よくある質問(FAQ)

SiCウェハはなぜ高価なのですか?
融液から引き上げるチョクラルスキー法が使えず、2000℃を超える高温で昇華させて再結晶させる昇華法で成長させるためです。成長速度が遅く口径拡大にも時間がかかるうえ、ダイヤモンドに次ぐ硬度のため切断・研磨の加工コストも高くなります。
SiCウェハの口径は今どうなっていますか?
長らく150mm(6インチ)が主流でしたが、200mm(8インチ)への移行が本格化しつつある段階です。シリコンが300mmで量産されているのに比べると、1枚から取れるチップ数の差がそのままコスト差として残っています。
ベーサル面転位(BPD)とは何ですか?
SiC特有の結晶欠陥の一つで、通電中に積層欠陥へと拡張してオン抵抗を経時的に増加させる原因になります。デバイスの長期信頼性に直結するため、エピタキシャル成長の段階でBPDを別の欠陥へ変換して低減する技術が重要になっています。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

ChaMP211東京精密(Accretech)・金属CMP装置
VF-1000H光洋サーモシステム・アニール炉
Candela® 8520KLA・結晶欠陥検査装置
SICA88レーザーテック・結晶欠陥検査装置
ALSI LASER1205ASMPT・レーザーダイシング装置
LabRAM Odyssey Semiconductor堀場製作所・有機物分析装置
IMPHEAT-II日新イオン機器・SiCパワー半導体製造装置
VIISta® 900 3DApplied Materials・SiCパワー半導体製造装置
MWS-SiC6タカトリ・ワイヤソー・スライシング装置
DAL7440DISCO・ワイヤソー・スライシング装置
SiCmaPVA TePla・単結晶製造装置(CZ/FZ引上げ)
G10-SiCAIXTRON・化合物半導体基板製造装置(SiC/GaN)

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 東京エレクトロン nanotec museum「半導体用語集:SiCウェーハ」(2026/10/07 確認)
  2. 東京精密(Accretech)「ChaMP211 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  3. 光洋サーモシステム「VF-1000H 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  4. KLA「Candela® 8520 製品ページ」(2026/10/07 確認)