ラッピングとは、砥粒を分散させたスラリーを定盤とウェハの間に供給し、砥粒が転がりながら材料を削る「遊離砥粒方式」の平面加工です。スライス直後のウェハに残るソーマーク(切断痕)と厚みばらつきを取り除き、後続の研磨工程に渡せる平坦度を作るのが目的で、ウェハ製造の中間工程にあたります。
装置は、上下2枚の定盤の間にウェハを保持するキャリアを挟み、遊星歯車機構でキャリアを自転・公転させながら加圧する構造が一般的です。砥粒にはアルミナや炭化ケイ素が使われ、粒径は数μm程度です。砥粒が固定されていないため、ウェハ表面をランダムに転がりながら微小な破壊で材料を除去します。
ラッピングの利点は、平坦度を効率よく作れることと、大きな取り代を短時間で除去できることです。一方で、砥粒が押し込まれることで表面下に数μmの加工変質層(ダメージ層)が残ります。この層はそのままではデバイス特性を損なうため、後続のエッチング(ケミカルエッチング)と鏡面研磨で完全に除去する必要があります。
近年は、ラッピングの代わりに固定砥粒による両面研削(DDG:Double Disk Grinding)を使う工程も普及しています。固定砥粒方式はスラリー処理が不要で加工が速く、ダメージ層も比較的浅く抑えられるため、スライス→研削→エッチング→研磨という流れに置き換わるケースが増えています。ただし平坦度の作りやすさではラッピングにも依然として利点があります。
ラッピング・両面研磨装置の主要メーカーは、SpeedFam・Lapmaster Wolters・浜井産業などです。研磨材(砥粒・スラリー)はフジミインコーポレーテッドなどが供給し、装置・砥粒・キャリア材質の組合せが最終的な平坦度と生産性を決めます。