ベベル(面取り)とは、ウェハ外周の角を丸く削って所定の断面形状に整える加工、およびその領域そのものを指します。スライス直後のウェハの縁は鋭く欠けやすいため、専用の砥石で断面をR形状またはT形状に成形し、その後エッジ研磨で鏡面に仕上げます。ウェハの最外周わずか数百μmの領域ですが、歩留まりへの影響は無視できません。
ベベル加工の第一の目的は、割れ(チッピング)の防止です。鋭い角は微小なクラックの起点になり、搬送や熱処理でウェハ全体の破断につながります。第二の目的はパーティクル対策で、縁の欠けは粉となって表面に回り込み、欠陥として現れます。第三に、レジスト塗布時に縁に生じる盛り上がり(エッジビード)を安定させる役割もあります。
デバイス工程が進むと、ベベル部には成膜・エッチング・めっきの残渣が層状に堆積していきます。ここに堆積した膜は密着が弱く、後工程で剥離してウェハ中央部へ落下する「エッジ由来欠陥」の原因になります。このため、ベベル部の膜を選択的に除去するベベルエッチング装置や、エッジ専用の洗浄・研磨(エッジポリッシング)が前工程に組み込まれています。
ベベル形状の規格はSEMIで定められており、断面のR形状・角度・幅が数μm単位で管理されます。形状が規格から外れると、露光装置のウェハステージでの保持や、CMP時の外周の研磨レート、ボンディング工程での接合強度に影響します。エッジ部の形状測定には専用のエッジプロファイル測定装置が使われます。
3D積層やウェハボンディングが増えるにつれ、ベベルの重要性はさらに高まっています。2枚のウェハを貼り合わせる際、エッジ部は接合されずに薄い刃状の縁(ナイフエッジ)が残り、そこが欠けの発生源になります。これを避けるため、接合前にエッジ部をあらかじめ数mm除去する「エッジトリミング」が標準工程として行われます。