最終更新 2026-10-07

シリコンインゴットとは

Silicon Ingot

シリコンインゴットとは、ウェハに切り出す前の円柱状の単結晶シリコンです。300mmウェハ用で直径約300mm・長さ2m前後・重量数百kgに達し、1本から数百〜千枚のウェハが取れます。ドーパントは融液に残りやすいため抵抗率は頭から尾へ向かって下がり、この軸方向分布が規格内に収まる範囲を決めます。成長後は外周研削・ノッチ加工を経てスライス工程へ送られます。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

シリコンインゴットとは、ウェハに切り出す前の円柱状の単結晶シリコンの塊です。高純度多結晶シリコン(ポリシリコン)を原料に、CZ法またはFZ法で成長させたもので、直径は300mmウェハ用で約300mm、長さは2m前後、重量は数百kgに達します。1本のインゴットから数百枚から千枚規模のウェハが取れるため、その品質と歩留まりがウェハ価格の出発点になります。

CZ法では、石英ルツボ内で約1,420℃に溶かしたシリコン融液に種結晶を浸し、回転させながら毎分1mm前後の速度で引き上げます。工程は、①種付け、②ネッキング(細く絞って転位を消す)、③ショルダー(狙いの直径まで太らせる)、④ボディ(一定径で引き上げる)、⑤テール(徐々に細めて融液から離す)という順に進み、この形状制御がそのまま結晶の均一性を決めます。

インゴット内では、成長方向に沿って特性が変化します。ドーパントは融液に残りやすい(偏析)ため、引き上げが進むほど融液中の濃度が上がり、結晶の抵抗率は頭から尾に向かって下がっていきます。ルツボから溶け込む酸素の濃度も、融液が減るにつれて変化します。この軸方向の分布があるため、1本のインゴットから取れるウェハでも、規格に入る領域と外れる領域が生じます。

成長後のインゴットは、まず抵抗率・酸素濃度・欠陥密度・少数キャリア寿命を測定し、規格ごとに区分されます。次に外周を研削して直径を正確に揃え、結晶方位を示すノッチを加工し、規定の長さのブロックに切断してからスライス工程へ送られます。頭部・尾部の規格外領域は切り落とされ、原料として再溶解されます。

大口径化はウェハ1枚あたりのチップ取得数を増やしますが、インゴットの重量増加に伴い、ルツボの強度・融液の対流制御・引き上げ機構の剛性など装置側の難易度が上がります。300mmから450mmへの移行が長年実現しないのは、この技術的負担と設備投資額が、得られるコスト削減に見合わないと判断されているためです。

図解

300mm用シリコンインゴットの大きさ・取れる枚数・抵抗率分布
CZ法で育て、切り出してウェハにする。

関連するデータ・ツール

データシリコンウェハーの世界シェア(上位5社)計算・換算ツールシリコン中の酸素濃度(Oi)換算ツール

この用語を扱う職種

装置・材料メーカー単結晶成長エンジニア(シリコン・SiC)

よくある質問(FAQ)

インゴット1本から何枚のウェハが取れますか?
300mmウェハ用の長さ2m級インゴットで、数百枚から千枚規模です。実際の枚数は「有効長 ÷(ウェハ厚+切り代+研磨取り代)」で決まるため、カーフロスの削減がそのまま生産枚数の増加につながります。頭部・尾部の規格外領域は切り落とされ、原料として再溶解されます。
インゴットの中で抵抗率が変わるのはなぜですか?
ドーパントが結晶より融液に残りやすい性質(偏析)があるためです。引き上げが進むほど融液中のドーパント濃度が上がり、結晶に取り込まれる量も増えるので、抵抗率は頭から尾に向かって下がっていきます。この軸方向分布が、規格に入る領域と外れる領域を生みます。
なぜ450mmウェハに移行しないのですか?
インゴットの重量増に伴い、ルツボの強度・融液の対流制御・引き上げ機構の剛性といった装置側の難易度が跳ね上がり、装置の再開発と設備投資が莫大になるためです。得られるチップ単価の低減がその負担に見合わないと判断され、300mmが主流のまま推移しています。

設備の製造メーカー

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. SUMCO「シリコンウェーハの製造方法」(2026/10/07 確認)