ラーニングカーブ(Learning Curve:学習曲線)とは、ある製品を作った累積の量が増えるほど、経験が積み重なって1個あたりの生産コストや作業時間が一定の割合で下がっていく関係を表した曲線です。1936年に米国の航空機の生産で、累積の生産量が2倍になるごとに1機あたりの作業時間が約2割減ることが報告されたのが始まりで、のちに経営学で経験曲線(エクスペリエンスカーブ)として一般化されました。
ラーニングカーブは、累積の生産量が2倍になったときにコストが何%になるかで表します。たとえば「80%の学習曲線」なら、累積の生産量が2倍になるたびにコストが80%に、つまり2割下がります。半導体は、このラーニングカーブが特に強く働く産業として知られています。工程の条件の改善、不良の原因の解明、装置の使いこなしが進むにつれて歩留まりが上がり、良品1個あたりのコストが大きく下がるためです。1960〜70年代には、米テキサス・インスツルメンツなどが、将来の学習によるコストの低下を見込んで最初から低い価格を付け、市場のシェアを取ることで累積の生産量を増やし、さらにコストを下げるという戦略をとりました。
ラーニングカーブは、先行して量産を始めた企業が有利になる理由を説明します。早く量産を立ち上げて累積の生産量を積み上げた企業ほど、歩留まりとコストで先を行き、後から参入する企業は追いつくのが難しくなります。DRAMや先端ロジックのファウンドリで、量産の立ち上げの速さと歩留まりの改善の速さが競争の決め手とされるのはこのためです。一方で、新しい世代のプロセスに移るたびに学習はある程度やり直しになるため、世代の切り替えのたびに新たな学習曲線をどれだけ速く下れるかが問われます。