TAT(Turn Around Time:ターンアラウンドタイム)とは、ある作業を依頼・投入してから、完了して結果が戻ってくるまでの時間です。半導体では、ウェハを製造ラインに投入してから完成するまでの製造期間(サイクルタイム)を指すことが多く、設計データを受け取ってから試作品を納めるまでの試作TAT、フォトマスクの製作TAT、不良解析の結果が出るまでの解析TATなど、さまざまな場面で使われます。
先端ロジック半導体の製造は数百の工程を経るため、ウェハの投入から完成まで3〜4か月前後かかるのが一般的です。工程の数はマスクの枚数に比例して増えるため、マスク1層あたりの日数(DPML:Days Per Mask Layer)で製造ラインの速さを比べることもあり、1層あたり1〜1.5日程度が目安とされます。実際の製造期間のうち、ウェハが装置で処理されている時間はごく一部で、大半は次の装置が空くのを待つ時間です。そのため製造期間を純粋な処理時間で割った値(Xファクター)を管理し、待ち時間を減らすことがTAT短縮の中心になります。
TATは事業の競争力に直結します。短ければ新製品を早く市場に出せ、顧客の注文変動にも素早く追随でき、歩留まりの問題を見つけてから対策の効果を確かめるまでの学習サイクルも速く回せます。一方で、ライン内の仕掛品(WIP)を増やしすぎると待ち時間が伸びてTATが悪化します。ファウンドリでは通常より優先して流すホットロット・スーパーホットロットを設定し、追加料金で試作のTATを短くするサービスも提供されています。