フォーカスリング(エッジリング)は、プラズマエッチング装置のウェハ外周を取り囲むように配置される環状の消耗部品です。ウェハ端部でプラズマシース(プラズマと電極の境界層)が曲がるのを補正し、イオンの入射角をウェハ中心部と揃えることで、外周のエッチング形状の傾き(チルト)とCD(寸法)ずれを抑える役割を担います。
ウェハの縁ではシースが下方へ湾曲するため、補正が無いとイオンが斜めに入射し、外周チップのホールやトレンチが内側に傾きます。フォーカスリングはウェハと同じ高さ・同じ材質特性の「延長」をつくることでシースの形を平坦に保ちます。材質にはシリコン(Si)・炭化ケイ素(SiC)・石英が使われ、プロセスガスとの反応性やパーティクル発生の観点から選定されます。
フォーカスリングは連続放電で徐々に削られる典型的な消耗部品です。厚みが減るとシース形状が再び崩れ、ウェハ外周の歩留まりが低下するため、従来は定期的にチャンバーを開けて交換していました。この交換ダウンタイムはファブのアップタイムを直接削るため、近年はリング高さをその場で機械的に持ち上げて補正する「エッジリング昇降機構」や、消耗量を実測して寿命を予測する仕組みが装置に組み込まれています。
リングの消耗はパーティクルの発生源にもなります。削られたSi・SiC粒子がウェハに落ちれば欠陥となるため、材質の高純度化や耐プラズマコーティング(イットリア溶射など)による長寿命化が進められています。300mmウェハでは外周数mmの領域に数十個のチップが並ぶため、エッジリングの管理は「外周歩留まり」という形で直接的な経済価値を持ちます。
供給側は、装置メーカー純正品に加え、部品メーカー・再生サービス事業者が競合する市場です。日本ではトーカロなどが再生・コーティングを担い、消耗部品としての交換周期短縮と再生品質がファブのランニングコストを左右します。