シャワーヘッドは、CVD・PECVD・ALD・エッチング装置のチャンバー上部に設置され、プロセスガスを多数の微細孔から均一にウェハへ吹き付けるガス分配部品です。ガスの面内分布がそのまま成膜レート・エッチングレートの均一性に反映されるため、チャンバー設計の中でも特に流体・熱・電気の三要素を同時に満たす必要がある部材です。
構造は、上部のガスプレナム(拡散室)と、直径0.5〜1mm程度の孔を数百〜数千個あけた下部プレートから成ります。孔の径・配置・板厚を調整することで、ウェハ中心と外周のガス供給量を意図的に変えて面内均一性を作り込みます。複数ガスを混合させずに別経路で供給する「デュアルチャネル」構造は、ALDのように前駆体同士の気相反応を避けたいプロセスで使われます。
CCP(容量結合プラズマ)方式の装置では、シャワーヘッドが上部電極を兼ねます。つまりRF電力の投入経路であると同時にガス分配器であり、プラズマに直接曝されるため消耗も進みます。材質はアルミ(表面にイットリア等をコーティング)・シリコン・SiCが用途に応じて使い分けられ、上部電極用のSi製シャワーヘッドは典型的な消耗部品です。
運用上の課題は孔詰まりと堆積です。PECVDでは孔の内壁に膜が堆積して有効径が変化し、ガス分布がずれてウェハ面内の膜厚分布が崩れます。これを防ぐため定期的なチャンバークリーニング(NF₃のリモートプラズマによる分解など)が行われ、堆積量に応じたクリーニング周期の最適化が装置稼働率に直結します。
供給は装置メーカー純正部品が中心ですが、精密加工・表面処理を担う部品メーカーと再生サービス事業者が実際の供給網を支えています。孔加工の精度と表面処理の品質がパーティクル性能を決めるため、加工業者の技術力が装置性能に直結する領域です。