オペアンプ(演算増幅器)とは

Operational Amplifier (Op-amp)

最終更新:2026-10-03・エレクトロニクス・アナログ・リニアテストシステム|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

オペアンプ(演算増幅器)とは?

オペアンプ(演算増幅器)とは、2つの入力電圧の差を10万倍以上に増幅するアナログ回路の基本部品です。出力を反転入力に戻す負帰還で使い、増幅率は抵抗比だけで決まります(反転増幅で−R2/R1、非反転で1+R2/R1)。利得帯域幅積・スルーレート・オフセット電圧・CMRRなどが性能指標です。

定義・解説

オペアンプ(Operational Amplifier、演算増幅器)とは、2つの入力端子の電圧の差を非常に大きな倍率で増幅する増幅器のことです。もともとアナログコンピュータで加算や積分などの演算を行うために作られたことから、この名前が付きました。現在はアナログ回路の最も基本的な部品として、センサの信号の増幅、フィルタ、電圧の比較、電源の制御など、あらゆる電子機器で使われています。

理想的なオペアンプは、増幅率(開ループ利得)が無限大、入力インピーダンスが無限大(入力に電流が流れない)、出力インピーダンスがゼロと考えます。実際の増幅率は10万倍以上と非常に大きいため、そのままでは出力がすぐに電源電圧に張り付いてしまいます。そこで、出力の一部を抵抗を通して反転入力に戻す負帰還をかけて使います。すると回路全体の増幅率は抵抗の比だけで決まり、反転増幅回路では−R2/R1、非反転増幅回路では1+R2/R1となります。オペアンプそのものの特性のばらつきに左右されず、精度の高い増幅ができるのが負帰還の利点です。

オペアンプの性能は、増幅できる周波数の上限を表す利得帯域幅積(GBW)、出力が変化できる速さのスルーレート、入力のずれである入力オフセット電圧、同相の雑音を除く能力(CMRR)、雑音、消費電流などで表します。入出力が電源電圧いっぱいまで振れるレールツーレール型、オフセットを極めて小さくしたチョッパ型など、用途に応じて多くの種類があります。内部は差動増幅回路を入力段とする多段の構成で、バイポーラトランジスタやCMOSで作られます。主なメーカーには、Texas Instruments、Analog Devices、ローム、ルネサスエレクトロニクスなどがあります。

よくある質問(FAQ)

オペアンプに負帰還をかけるのはなぜですか?▾
オペアンプ単体の増幅率は10万倍以上と大きすぎ、しかも個体や温度でばらつくため、そのままでは出力がすぐ電源電圧に張り付いてしまいます。出力の一部を反転入力に戻す負帰還をかけると、回路の増幅率が外付けの抵抗の比だけで決まり、安定で精度の高い増幅ができます。
オペアンプとコンパレータの違いは何ですか?▾
オペアンプは負帰還をかけて入力に比例した出力を得る増幅器として使うのが基本です。コンパレータは帰還をかけずに2つの電圧の大小を比べ、結果をハイかローの2値で素早く出力するために作られた回路です。オペアンプをコンパレータの代わりに使うと、応答が遅く出力が不安定になることがあります。

設備の製造メーカー

Texas Instruments(TI)米国

アナログ半導体・組み込みプロセッサの世界最大手IDM。アンプ・電源IC・マイコン(MSP430・C2000)を…

Analog Devices(ADI)米国

アナログ・混合信号・DSP半導体の世界的大手IDM。2021年にMaxim Integratedを買収し業界最…

ローム(ROHM)日本

パワー半導体・SiCデバイス・LED・抵抗器の総合半導体IDM。日本でSiC事業を早期に強化し、EV・産業機器…

ルネサスエレクトロニクス日本

NEC・日立・三菱のシステムLSI部門を統合した日本最大の半導体メーカー。車載マイコン・SoC・MCUで世界首…

関連カテゴリ

関連用語

同じトピックの用語

設計・アーキテクチャ のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

Intel米国Cadence Design Systems米国Synopsys米国Siemens EDA(旧Mentor Graphics)米国NVIDIA米国

比較・違いを学ぶ

ASICとFPGAの違い(性能・コスト・用途の比較)
ASICは特定の処理に最適化した固定回路を半導体製造で作るチップで、量産時のコスト・性能・消費電力すべてで最高効率を発揮します。FPGAはプログラム可能なロジッ…
→
RISC-VとARMの違い(ライセンス・エコシステム・用途の比較)
ARMはスマートフォン・組み込み機器で圧倒的シェアを持つ命令セットアーキテクチャ(ISA)で、ARM Holdings社がライセンスを管理し利用にはロイヤリティ…
→
チップレットとモノリシックの違い(設計アーキテクチャ比較)
モノリシック設計は全機能を1枚のダイに集積する従来手法で、インターコネクト遅延が最小限で設計がシンプルです。チップレット設計は機能ブロックを複数の小ダイ(チップ…
→
CPUとGPUの違い(アーキテクチャ・用途・製造プロセス比較)
CPU(Central Processing Unit)は少数の高性能コアで複雑な逐次処理を担う「汎用演算の司令塔」、GPU(Graphics Processi…
→
GPUとNPUの違い(AI推論・エッジAI比較)
GPU(Graphics Processing Unit)はデータセンターの大規模AI学習・推論に強い汎用並列プロセッサで、NPU(Neural Process…
→
GPUとASICの違い(AI推論チップ比較)
GPU(Graphics Processing Unit)は汎用性が高くあらゆるAIモデルに対応できる一方、ASIC(Application-Specific …
→
← 用語集に戻る用語集をExcel・PDFで使う →