ウォーターマークとは、洗浄後の乾燥が不完全でウェハ表面に残った水滴が蒸発する際、溶け込んでいたシリコン成分や不純物が析出して残る、輪状・斑点状の欠陥です。表面検査装置では数μm〜数十μmのシミとして観察され、その上に成膜や露光を行えばパターン不良や膜の密着不良を引き起こします。
発生メカニズムは、DHF洗浄などで水素終端された疎水性のシリコン表面と水滴、そして溶存酸素の組合せにあります。水滴の縁では蒸発が進みながら酸素が供給されるため、シリコンが局所的に酸化されてSiO₂となり、さらに水に溶けてケイ酸として濃縮されます。最終的に水が完全に蒸発すると、その濃縮成分が輪の形で析出して残ります。
そのため対策は3方向に整理できます。①水滴を残さない(マランゴニ乾燥・IPA乾燥で液滴を作らずに乾かす)、②溶存酸素を減らす(脱気した超純水を使い、窒素雰囲気で処理する)、③表面を疎水性のままにしない(DHF処理後に酸化性の薬液で親水化してから乾燥させる)。実際にはこれらを組み合わせて運用します。
疎水面ほど発生しやすいという性質から、ウォーターマークはゲート形成前のプレクリーンやエピ成長前処理といった、DHFで自然酸化膜を落とした直後の工程で特に問題になります。この工程では洗浄から次の処理までの待機時間(キュータイム)も短く設定され、時間超過したウェハは再洗浄に回されます。
検査は、レーザー散乱式の表面検査装置でマップとして検出するのが一般的です。ウェハ外周に集中する、あるいは特定の角度方向に並ぶといったマップのパターンから、乾燥ノズルの位置や回転条件など発生源の推定が行われます。