MFCガス換算係数(GCF)計算ツール
要点
熱式MFCはガスが運ぶ熱量で流量を測るため、比熱と密度の違うガスを流すと表示がずれます。N₂校正のMFCで流した実ガスの流量は「指示値 × GCF」で、SiH₄(GCF 約0.60)を 100 sccm 流すには設定値を約167 sccm にします。C₄F₈ や SF₆ は GCF が0.2前後で、N₂換算フルスケールの約5分の1しか流せません。
校正ガスと実ガスの換算
実ガスの実流量60.00sccm
換算比 GCF(実ガス) / GCF(校正ガス)0.6000
実ガス 200 sccm を流すための設定値333.33sccm(校正ガス換算)
実ガスでのフルスケール300.0sccm
換算係数は熱式MFCで一般的に使われる代表値です。メーカーやセンサ構造で数%異なるため、精度が要る場合はMFCメーカーの係数表か、実ガス校正(マルチガス・マルチレンジ機能)を使ってください。
2成分混合ガスの換算係数
混合ガスの GCF0.9375
物性値から換算係数を推定する
推定 GCF0.598
初期値は SiH₄(密度 1.433 g/L、cp 0.3189 cal/g·K)で、表の代表値 0.60 に近い値になります。表にないガスのおおよその係数を見積もる用途向けです。
ガス換算係数の一覧
| ガス | GCF(N₂=1) | N₂ 500 sccm レンジでの実流量上限 |
|---|---|---|
| N₂ 窒素 | 1.000 | 500 sccm |
| Ar アルゴン | 1.390 | 695 sccm |
| He ヘリウム | 1.450 | 725 sccm |
| H₂ 水素 | 1.010 | 505 sccm |
| O₂ 酸素 | 0.993 | 497 sccm |
| 空気 | 1.000 | 500 sccm |
| CO₂ 二酸化炭素 | 0.700 | 350 sccm |
| N₂O 亜酸化窒素 | 0.710 | 355 sccm |
| NH₃ アンモニア | 0.730 | 365 sccm |
| CH₄ メタン | 0.720 | 360 sccm |
| SiH₄ モノシラン | 0.600 | 300 sccm |
| SiH₂Cl₂ ジクロロシラン | 0.400 | 200 sccm |
| Cl₂ 塩素 | 0.860 | 430 sccm |
| HCl 塩化水素 | 1.000 | 500 sccm |
| HBr 臭化水素 | 1.000 | 500 sccm |
| BCl₃ 三塩化ホウ素 | 0.410 | 205 sccm |
| CF₄ 四フッ化炭素 | 0.420 | 210 sccm |
| CHF₃ トリフルオロメタン | 0.500 | 250 sccm |
| C₂F₆ ヘキサフルオロエタン | 0.240 | 120 sccm |
| C₄F₈ オクタフルオロシクロブタン | 0.164 | 82 sccm |
| SF₆ 六フッ化硫黄 | 0.260 | 130 sccm |
| NF₃ 三フッ化窒素 | 0.480 | 240 sccm |
| WF₆ 六フッ化タングステン | 0.250 | 125 sccm |
| Xe キセノン | 1.320 | 660 sccm |
熱式MFCに換算係数が必要な理由
熱式MFCは、ガスが流れるセンサ管を加熱し、上流と下流の温度差からガスが運ぶ熱量を測っています。同じ質量流量でも、比熱と密度が違えば運ぶ熱量が変わるため、窒素で校正したMFCにほかのガスを流すと表示がずれます。比熱の大きい多原子分子(SiH₄、CF₄、C₄F₈など)は同じ流量でも多くの熱を運ぶので、GCFが1より小さくなります。
半導体装置のレシピは実ガスの流量で書かれるため、N₂校正のMFCを使う場合は設定値をGCFで割った値にする必要があります。GCFが0.2前後のC₄F₈やSF₆では、N₂換算のフルスケールの5分の1程度しか流せない点にも注意が必要です。最近のMFCは複数ガスの特性を内蔵しており、ガス種を選ぶだけで換算されるものが主流です。