親水性(Hydrophilicity)とは、物の表面が水になじみやすく、水が薄く広がる性質のことで、反対に水をはじいて水滴が丸くなる性質を疎水性(撥水性:Hydrophobicity)と呼びます。どちらに近いかは、表面に置いた水滴の縁と表面がなす角度である接触角で表し、接触角が小さいほど親水性、大きいほど疎水性です。一般に90°未満を親水性、90°以上を疎水性とし、10°以下の非常に濡れやすい状態を超親水性と呼びます。
シリコンウェハの表面は、処理によって親水性と疎水性が大きく変わります。フッ酸(DHF)で自然酸化膜を除いた直後のシリコン表面は、水素で終端されて疎水性になり、水をはじきます。この性質を使い、ウェハを引き上げたときに水がはじけば酸化膜が取れたと判断できます。一方、SC1洗浄やオゾン水で処理した表面や酸化膜の表面は、水酸基(-OH)を持つため親水性になります。疎水性の表面は水滴が残りやすく、乾燥時に溶けた成分が析出してウォーターマークが生じやすいため、IPA乾燥などの乾燥方法の選択に影響します。
親水性・疎水性の制御は多くの工程で使われます。レジストを塗る前のHMDS処理は、表面を疎水性にしてレジストの密着を高めます。ウェハどうしを直接貼り合わせる接合では、表面を親水性にして水酸基どうしの結合を利用します。液浸露光では、レジストの上の膜(トップコート)を疎水性にして、高速で動くウェハの上に水が残らないようにします。表面の状態は接触角計で水滴の角度を測って管理し、わずかな有機汚染でも接触角が変わるため、表面の清浄度の簡易的な指標としても使われます。