フッ化水素(高純度フッ酸)とは

Hydrogen Fluoride

最終更新:2026-10-07・電子工業用薬液(高純度薬品)・プロセス薬液|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

フッ化水素(高純度フッ酸)とは?

フッ化水素(HF)とは、シリコン酸化膜を溶かす性質を持つ化合物で、半導体製造ではフッ酸(水溶液)として自然酸化膜の除去やDHF洗浄・BHFエッチングに、無水ガスとして気相エッチングに使われます。金属不純物をppt級まで除いた超高純度品は日本企業が強く、2019年の韓国向け輸出管理の厳格化で供給リスクの象徴的な材料として知られるようになりました。

定義・解説

フッ化水素(HF)とは、フッ素と水素の化合物で、半導体製造では水溶液のフッ化水素酸(フッ酸)と、無水のフッ化水素ガスの2つの形で使われます。シリコン酸化膜(SiO₂)を溶かす性質を持つため、ウェハ表面の自然酸化膜の除去や洗浄、酸化膜のウェットエッチングに欠かせない薬品です。半導体向けには金属不純物をppt(1兆分の1)レベルまで除いた超高純度品が求められます。

半導体工程での主な用途は次のとおりです。(1)DHF洗浄:希釈したフッ酸で自然酸化膜と表面の金属汚染を取り除く、RCA洗浄の一工程です。(2)BHF(バッファードフッ酸)によるウェットエッチング:フッ化アンモニウムを加えてエッチング速度を安定させ、酸化膜を加工します。(3)気相エッチング:無水HFガスで酸化膜を除去し、MEMSの犠牲層除去などに使われます。また、エッチングやクリーニングに使う各種フッ素系ガスの原料にもなっています。

高純度フッ化水素は日本企業が強い材料の一つで、ステラケミファや森田化学工業などが世界の半導体向けの主要な供給元です。原料は蛍石(フッ化カルシウム)で、その多くを中国から輸入しているため、原料の調達にも地政学的なリスクがあります。高純度化には蒸留などの精製を繰り返す必要があり、品質を安定させるノウハウが参入障壁になっています。

フッ化水素は経済安全保障の文脈でも知られるようになりました。2019年7月、日本は韓国向けのフッ化ポリイミド・レジスト・フッ化水素の3品目について輸出管理の運用を厳格化し、韓国の半導体メーカーは調達先の多様化と国産化を急ぎました。この措置は2023年に解除されましたが、特定の国に依存した材料の供給がいかに脆弱かを示した事例として、各国のサプライチェーン政策で繰り返し参照されています。

図解

フッ化水素(高純度フッ酸)の使われ方(フッ酸・BHF・無水HFガス)
皮膚から吸収されると重い障害を起こすため、取り扱いには厳重な管理が要る。

紛らわしい言葉の切り分け

DHFとBHF。どちらも酸化膜を溶かすフッ酸系の薬液です。DHFはフッ酸を水で薄めた液で、主に自然酸化膜を取る洗浄に使います。BHFはフッ化アンモニウムを加えた緩衝液で、エッチングの速さが安定するため、厚い酸化膜を決まった量だけ削るパターン加工に使います。 比較記事 →

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この用語を扱う職種

装置・材料メーカー特殊ガス・高純度薬液エンジニア

よくある質問(FAQ)

半導体製造でフッ化水素は何に使われますか?▾
シリコン酸化膜を溶かす性質を利用し、ウェハ表面の自然酸化膜や金属汚染を取り除くDHF洗浄、酸化膜を加工するBHFによるウェットエッチング、無水ガスでの気相エッチングなどに使われます。フッ素系のエッチングガスやクリーニングガスの原料にもなります。
なぜ半導体用のフッ化水素は高純度が必要なのですか?▾
ウェハに直接触れる薬品のため、含まれる金属不純物がそのままウェハ表面に付着し、トランジスタの特性劣化やリーク電流の原因になるからです。先端工程では金属不純物をppt(1兆分の1)レベルまで除いた超高純度品が求められます。

設備の製造メーカー

ステラケミファ日本

フッ素化学を専門とする半導体材料メーカー。超高純度フッ化水素酸(HF)・フッ化アンモニウムなどの半導体ウェーハ…

関東電化工業日本

フッ素系特殊ガスの国内大手メーカー。半導体エッチング・成膜工程で使われる高純度プロセスガスを中心に、化学品事業…

レゾナック(旧昭和電工)日本

2023年に昭和電工と日立化成が統合して発足した半導体材料の総合メーカー。CMPスラリー・半導体封止材・エピタ…

関東化学(Kanto Chemical)日本

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