比較検査・計測最終更新 2026-10-19

XPSとEDXの違い

XPSとEDXは、どちらも半導体の分析でよく使われる元素の分析方法で、名前にX線が入っているため混同されがちです。しかし、当てるものも測るものも違い、得られる情報も大きく異なります。ここでは2つの違いと使い分けを整理します。

結論

違いは、何を当てて何を測るか、そして分かる情報です。XPS(X線光電子分光法)はX線を当てて飛び出す光電子のエネルギーを測り、表面から数nmの深さにある元素と、その化学結合の状態(酸化しているかなど)が分かります。EDX(エネルギー分散型X線分析)は電子線を当てて出てくる特性X線を測り、SEMやTEMで見た場所の元素の種類と量、分布の地図が得られますが、化学状態はほとんど分かりません。界面や表面の化学状態にはXPS、異物や断面の元素の分布にはEDXが向いています。

主な違い

XPS(X線光電子分光法)とEDX(エネルギー分散型X線分析)の観点別比較
観点XPS(X線光電子分光法)EDX(エネルギー分散型X線分析)
当てるものX線電子線
測るもの飛び出す光電子のエネルギー出てくる特性X線のエネルギー
分析できる深さ表面から数nm1μm程度(SEMの場合)
化学状態分かる(化学シフト)ほとんど分からない
場所の選び方数十μm〜mm程度の範囲が中心SEM・TEMで見た場所をそのまま分析
装置専用の超高真空の装置SEM・TEMに検出器を取り付ける
主な用途界面の結合状態、洗浄後の表面異物の元素、断面の材料の分布

XPSは表面の「化学状態」が分かる

XPSでは、X線のエネルギーを受け取った電子が、原子に束縛されていたエネルギーを差し引いた分の運動エネルギーで飛び出します。束縛のエネルギーは元素ごとに決まり、さらに結合の相手によってわずかにずれる(化学シフト)ため、同じシリコンでも金属のシリコンと酸化したシリコンを区別できます。光電子は物質の中を遠くまで進めないため、分析できるのは表面から数nmに限られ、極めて表面に敏感な方法です。

EDXは見た場所の「元素の分布」が分かる

EDXは、SEMやTEMの電子線が原子の内側の電子をはじき出したときに出る、元素ごとに決まったエネルギーのX線を測ります。電子顕微鏡で観察しながら、異物や断面の特定の場所を狙って分析でき、電子線でなぞれば元素ごとの分布を色分けした地図も作れます。手軽で速いのが利点ですが、化学状態はほとんど分からず、軽い元素や微量の元素は苦手です。

故障解析では組み合わせて使う

ウェハの上に見つかった異物の正体を調べるときは、まずSEMで観察しながらEDXで元素を調べ、発生源の見当をつけます。ゲート酸化膜と基板の界面の結合や、洗浄・エッチングの後の表面の状態を知りたいときはXPSを使います。さらに、ppm以下の微量の不純物や深さ方向の濃度の分布にはSIMSを使うなど、目的に応じて複数の分析方法を組み合わせるのが一般的です。

よくある質問

XPSとEDXのどちらを使えばよいですか?
知りたい情報で選びます。表面の元素が酸化しているか、どの原子と結合しているかといった化学状態を知りたいならXPS、電子顕微鏡で見ている異物や断面の特定の場所に何の元素があるか、その分布を知りたいならEDXが向いています。故障解析では両方を組み合わせることもよくあります。
微量の不純物を調べるにはどちらがよいですか?
どちらもppm以下の微量の不純物を調べるのは得意ではありません。EDXの検出の目安はおおむね0.1重量%程度、XPSも0.1原子%程度が目安です。ドーパントのように微量の元素の濃度や深さ方向の分布を調べるには、SIMS(二次イオン質量分析)が使われます。

あわせて読む