最終更新 2026-10-19

XPSとは(X線光電子分光法)

X-ray Photoelectron Spectroscopy (XPS)

XPS(X線光電子分光法)とは、試料の表面にX線を当て、飛び出してくる光電子のエネルギーを測って、表面にある元素とその化学状態を調べる分析方法です。同じ元素でも結合の相手で値がずれる化学シフトから、酸化しているかなどが分かります。分析できるのは表面から数nmで、界面や洗浄後の表面の評価に使われます。

目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy:X線光電子分光法)とは、試料の表面にX線を当て、飛び出してくる電子(光電子)のエネルギーを測ることで、表面にどの元素があり、それがどのような化学状態(どの原子と結合しているか)にあるかを調べる分析方法です。ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも呼ばれます。

X線のエネルギーを受け取った電子は、原子に束縛されていたエネルギー(結合エネルギー)を差し引いた分の運動エネルギーで飛び出します。結合エネルギーは元素ごとに決まっているため、元素が分かります。さらに、同じ元素でも結合の相手によって結合エネルギーがわずかにずれる化学シフトを読み取ると、たとえばシリコンが金属のシリコンなのか、酸化したSiO2なのかを区別できます。

光電子が物質の中を進める距離は短く、分析できるのは表面から数nm程度の深さです。この表面に敏感な性質を生かし、自然酸化膜の状態、ゲート酸化膜やHigh-k膜と基板の界面の化学結合、洗浄やエッチングの後の表面の汚れや残留物の分析に使われます。イオンで表面を少しずつ削りながら測れば深さ方向の分布も分かりますが、より深い分布や微量の不純物にはSIMSが使われます。

図解

X線の照射、光電子の放出、エネルギーの測定、元素と化学状態の同定までのXPSの流れ
深さ方向の分布はイオンで削りながら測って求める。

紛らわしい言葉の切り分け

XPSとEDX。違いは当てるものと分かる情報です。XPSはX線を当てて光電子を測り、表面から数nmの元素と化学結合の状態が分かります。EDXは電子線を当てて特性X線を測り、SEM・TEMで見た場所の元素の種類と量、分布が分かりますが、化学状態は分かりません。 比較記事 →

よくある質問(FAQ)

XPSとEDXの違いは何ですか?
XPSはX線を当てて出てくる光電子を測り、表面から数nmの元素と化学結合の状態が分かります。EDXは電子線を当てて出てくる特性X線を測り、元素の種類と量が分かりますが、化学状態はほとんど分からず、分析する深さも1μm程度と深くなります。SEMやTEMで見ながら場所を選んで測れるのがEDXの利点です。
XPSとSIMSはどう使い分けますか?
XPSは化学結合の状態を知りたいときに使います。SIMSはイオンで削った表面から飛び出すイオンの質量を測る方法で、ppm以下の微量の不純物や、深いところまでの濃度の分布を測るのに優れています。ドーパントの深さ分布にはSIMS、界面の結合状態にはXPSが向いています。

設備の製造メーカー

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出典・参考資料

  1. 東レリサーチセンター「X線光電子分光分析法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)」(2026/10/19 確認)