XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy:X線光電子分光法)とは、試料の表面にX線を当て、飛び出してくる電子(光電子)のエネルギーを測ることで、表面にどの元素があり、それがどのような化学状態(どの原子と結合しているか)にあるかを調べる分析方法です。ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも呼ばれます。
X線のエネルギーを受け取った電子は、原子に束縛されていたエネルギー(結合エネルギー)を差し引いた分の運動エネルギーで飛び出します。結合エネルギーは元素ごとに決まっているため、元素が分かります。さらに、同じ元素でも結合の相手によって結合エネルギーがわずかにずれる化学シフトを読み取ると、たとえばシリコンが金属のシリコンなのか、酸化したSiO2なのかを区別できます。
光電子が物質の中を進める距離は短く、分析できるのは表面から数nm程度の深さです。この表面に敏感な性質を生かし、自然酸化膜の状態、ゲート酸化膜やHigh-k膜と基板の界面の化学結合、洗浄やエッチングの後の表面の汚れや残留物の分析に使われます。イオンで表面を少しずつ削りながら測れば深さ方向の分布も分かりますが、より深い分布や微量の不純物にはSIMSが使われます。