FIB(Focused Ion Beam:集束イオンビーム)とは、ガリウムなどのイオンを細く絞ったビームにして試料に当て、狙った場所をナノメートルの精度で削ったり、観察したり、膜を付けたりする装置と技術です。イオンは電子よりはるかに重いため、当たった場所の原子をはじき飛ばして削る(スパッタする)ことができます。電子ビームの顕微鏡(SEM)と1台に組み合わせたFIB-SEM(デュアルビーム)が広く使われています。
半導体での主な用途は3つです。1つ目は断面の作製で、チップの不良の場所を狙ってFIBで穴を掘り、断面をSEMで観察します。2つ目はTEM(透過型電子顕微鏡)用の試料作りで、チップから厚さ100nm以下の薄い板(ラメラ)を切り出します。3つ目は回路の修正で、配線を切ったり、ガスを流しながらビームを当てて金属の膜を付け、配線をつないだりして、マスクを作り直さずに設計の誤りを確かめます。フォトマスクの欠陥の修正にも使われます。
ガリウムのイオンは試料に入り込んで表面を傷めるため、最後は低い加速電圧で仕上げるなどの工夫が必要です。大きな体積を速く削りたい場合には、キセノンのプラズマを使うプラズマFIBが使われ、パッケージの断面やTSVの解析に向いています。故障解析では、OBIRCHなどで不良の場所を絞り込んでから、FIBで断面を作って原因を確かめる流れが一般的です。