GLOSSARY

酸化膜CMP(STI-CMP・ILD-CMP)とは

Oxide CMP
最終更新:2026-08-25酸化膜CMP装置STI形成CMP装置

酸化膜CMP(STI-CMP・ILD-CMP)とは?

酸化膜CMPとは、SiO₂系絶縁膜を研磨対象とするCMPで、STI形成後の余剰酸化膜除去(STI-CMP)と層間絶縁膜の平坦化(ILD-CMP)が代表です。STI-CMPではSiNストッパ膜と、SiO₂対SiNの選択比が高いセリア系スラリーを組み合わせて削りすぎを防ぎます。パターン密度依存の段差対策として、設計側でダミーパターンを挿入する手法も併用されます。

定義・解説

酸化膜CMPとは、SiO₂系の絶縁膜を研磨対象とするCMP工程です。素子分離のSTI形成後に余剰酸化膜を削るSTI-CMPと、多層配線の層間絶縁膜を平坦化するILD-CMPが代表で、半導体製造で最初に実用化されたCMP用途でもあります。

STI-CMPでは、トレンチを埋めるために全面に成膜した酸化膜のうち、トレンチ外の部分を削り落とします。ここで重要になるのがストッパ膜です。あらかじめ活性領域の上に窒化膜(SiN)を残しておき、酸化膜だけを高い選択比で削るスラリーを使うことで、SiNが露出した時点で研磨が実質的に止まり、削りすぎを防げます。この選択比を担うのがセリア(CeO₂)系スラリーです。

セリアが使われるのは、シリカ砥粒に比べてSiO₂に対する化学的な反応性が高く、低い圧力でも高いレートが得られるうえ、SiNとの選択比を薬剤で大きく取れるためです。研磨圧を下げられることは、パターン密度依存の凹凸(ディッシング・エロージョン)を抑えるうえでも有利に働きます。一方、セリア粒子は凝集しやすく、スクラッチと残留粒子の管理がシビアになります。

ILD-CMPでは、配線層の上に成膜した絶縁膜の段差をなくして、次の層のリソグラフィが焦点を合わせられる平坦面を作ります。ストッパ膜が使えないため、研磨時間と実測膜厚によるフィードバック制御(APC)で狙いの残膜を出します。研磨レートのドリフトが直接膜厚ばらつきになるため、パッドコンディショニングとレート管理が品質を左右します。

酸化膜CMPに共通する課題は、パターン密度への依存です。同じ条件で研磨しても、疎な領域と密な領域では削れ方が異なり、チップ内で段差が残ります。これを避けるため、設計段階でダミーパターンを挿入してパターン密度を平準化するという、レイアウト側からの対策が併用されます。

よくある質問(FAQ)

STI-CMPでセリアスラリーが使われるのはなぜですか?
セリア(CeO₂)はシリカ砥粒よりSiO₂に対する化学的反応性が高く、低い圧力でも高いレートが得られるうえ、ストッパ膜であるSiNとの選択比を薬剤で大きく取れるためです。低圧で研磨できることは、パターン密度依存の凹凸を抑えるうえでも有利です。
ILD-CMPではなぜストッパ膜を使わないのですか?
層間絶縁膜の平坦化では、削り止めたい特定の膜が下地に存在しないためです。そのため研磨時間と実測膜厚によるフィードバック制御(APC)で狙いの残膜を出します。研磨レートのドリフトが直接膜厚ばらつきになる点が難しさです。
ダミーパターンはなぜ必要なのですか?
CMPの削れ方がパターン密度に依存するためです。疎な領域と密な領域では同じ条件でも研磨量が変わり、チップ内に段差が残ります。設計段階で電気的に機能しないダミーパターンを挿入して密度を平準化することで、この差を小さくします。

設備の製造メーカー

Applied Materials米国

世界最大の半導体製造装置サプライヤー。成膜、除去、改質、分析の包括的な製品ポートフォリオで、ウェーハ製造の全工…

企業詳細を見る →
荏原製作所日本

CMP(化学機械研磨)装置と半導体製造用真空ポンプ・除害装置の大手。ポンプ・精密機械・環境事業を軸に、半導体製…

企業詳細を見る →
CMCマテリアルズ(Cabot Microelectronics)米国

CMPスラリーと研磨パッドの世界的リーダー。銅・タングステン・酸化膜などの多様なCMPアプリケーション向けスラ…

企業詳細を見る →
フジミインコーポレーテッド日本

CMP(化学機械研磨)用スラリーの世界的大手メーカー。シリコンウェハ研磨から配線平坦化まで、幅広いCMPスラリ…

企業詳細を見る →
レゾナック(旧昭和電工)日本

2023年に昭和電工と日立化成が統合して発足した半導体材料の総合メーカー。CMPスラリー・半導体封止材・エピタ…

企業詳細を見る →

関連カテゴリ

酸化膜CMP装置
STI形成CMP装置
CMP装置

関連用語

CMPとは →シャロートレンチアイソレーションとは →ストッパ膜(研磨ストップ層)とは →CMPスラリーとは →エロージョン(CMP)とは →ナノトポグラフィとは →層間絶縁膜(ILD)とは →

同じトピックの用語

CMP・平坦化 のトピックで関連する用語です。

CMP(化学機械研磨)とは →研磨パッド(CMPパッド)とは →パッドコンディショニングとは →リテーナリングとは →研磨ヘッド(キャリアヘッド)とは →メタルCMP(Cu・W研磨)とは →研磨レート(Prestonの式)とは →研磨均一性(WIWNU・WTWNU)とは →

同じトピックの企業

岡本工作機械製作所日本KCTech(ケーシーテック)韓国デュポン(DuPont)米国ニッタ・デュポン日本フジボウ愛媛(富士紡ホールディングス)日本3M米国

比較・違いを学ぶ

Cu-CMPとW-CMPの違い(メタルCMPの比較)
メタルCMPは、配線を作るための「余分な金属を削り落とす」工程です。銅ダマシン配線の余剰Cu除去と、コンタクトプラグのタングステン除去という二大用途がありますが
セリアスラリーとシリカスラリーの違い(CMP砥粒の比較)
CMPスラリーの性能を決めるのは砥粒だけではありませんが、砥粒種の選択はプロセスの性格を大きく規定します。セリアとシリカは、同じ「ナノ粒子を分散させた研磨液」で
CMPとエッチバックの違い|平坦化手法を比較
どちらもウェハ表面を平坦化する技術ですが、メカニズムが根本的に異なります。CMPは研磨剤(スラリー)と研磨パッドを使った化学・機械的研磨で、ナノメートル精度の大
← 用語集に戻る