ナノトポグラフィとは、ウェハ表面に存在する波長0.2〜20mm程度・振幅数nm〜数十nmという、非常に緩やかで浅いうねりのことです。平坦度(SFQR)が拾う数十mmスケールの高さ変動よりも細かく、表面粗さ(Ra)が対象とするμm以下のスケールよりも粗い、その中間の空間周波数帯に位置します。
この指標が重視されるようになったのは、CMP(化学機械研磨)が普及したためです。CMP時のウェハは研磨パッドに押し付けられており、パッドは緩やかなうねりに追従してしまいます。その結果、うねりの凸部が優先的に削られて膜厚が薄くなり、STI(浅溝素子分離)工程では絶縁膜の削り過ぎ(ディッシング)や残膜のばらつきとして現れ、素子分離不良につながります。
測定は、干渉計や静電容量方式でウェハ形状を取得したあと、フィルタ処理で対象の空間周波数帯だけを抽出して行います。評価値としては、指定サイズの解析窓(例:直径2mm・10mm)を走査したときのPV値(Peak-to-Valley)の最大値が使われ、THA(Threshold Height Analysis)で規格外領域の面積比を見る手法もあります。
発生源は主に研磨工程です。両面研磨(DSP)でのキャリアの厚み分布や研磨布の状態、仕上げ研磨での保持方式の癖などが、周期的・準周期的なうねりとして残ります。ウェハメーカーにとっては、平坦度を満たすだけでは不十分で、この中間周波数帯まで抑え込む必要があるという点で、加工技術の成熟度が問われる指標です。
デバイスメーカー側では、ウェハ受け入れ検査の項目としてナノトポグラフィを規格化し、CMP工程の歩留まりと相関を取ることで、ウェハサプライヤーごとの品質差を管理します。平坦度・ナノトポグラフィ・反り・粗さは、それぞれ異なる空間スケールを見ている補完的な指標であり、どれか一つでは表面品質を語れません。