研磨ヘッド(キャリアヘッド)とは、CMP装置でウェハを保持し、回転させながら研磨パッドへ押し付ける機構部です。ウェハに加わる圧力の分布を決める部品であり、面内均一性(WIWNU)を作り込む主役として、CMP装置の性能を最も強く規定する要素の一つです。
現代の標準はメンブレン方式です。ウェハ裏面に接する弾性膜(メンブレン)を同心円状に複数のゾーンへ分割し、各ゾーンへ独立に空気圧を与えることで、中心部と外周部の研磨圧を別々に制御します。ゾーン数は5〜7が一般的で、研磨結果の膜厚プロファイルを見ながら各ゾーン圧を調整して、凹んだ領域の圧力を上げるという追い込み方をします。
ウェハの保持には、バッキングフィルム(多孔質のシート)による水膜の吸着力を使う方式と、真空吸着を併用する方式があります。研磨中はウェハをパッドに押し付けるだけでよいため強い保持力は不要ですが、搬送時の受け渡しでは確実に保持する必要があり、この切り替えの信頼性が装置の連続稼働性に関わります。ウェハ外周はリテーナリングが押さえます。
ヘッドの回転数とプラテンの回転数の比、そしてヘッドの揺動(オシレーション)も重要なパラメータです。ウェハ上の各点がパッド上を通過する相対速度と軌跡が均一になるよう設計されており、これが崩れると同心円状の膜厚むらとして現れます。研磨レートは相対速度と圧力の積に比例するというPrestonの式の枠組みで理解されます。
主要な装置メーカーはApplied Materials(Reflexionシリーズ)・荏原製作所(FREXシリーズ)で、韓国のKCTechも自国メモリ向けに供給しています。ヘッドの多ゾーン化とリアルタイム膜厚計測の組合せにより、ウェハ1枚ごとにプロファイルを補正する制御が実用化されています。