研磨パッド(CMPパッド)とは、CMP装置のプラテン(定盤)に貼り付けられ、スラリーを保持しながらウェハ表面を研磨する消耗材です。CMPの除去は砥粒がパッドとウェハの間で転がることで進むため、パッドはスラリーを運ぶ媒体であると同時に、圧力をウェハへ伝える弾性体でもあります。
主流はポリウレタン発泡体(IC1000に代表される硬質パッド)です。内部に数十μmの独立気泡を持ち、表面を削り出すことで気泡が開口してスラリーを保持する微細な窪みになります。表面には同心円状やX-Y格子状の溝(グルーブ)が刻まれ、スラリーの供給と研磨屑の排出経路として機能します。仕上げ研磨には、より軟らかいスエードタイプのパッドが使われます。
パッドの硬さは、平坦性と均一性のトレードオフを直接支配します。硬いパッドは局所的な凸部だけを削るため平坦化能力(プラナリゼーション)が高い一方、ウェハの反りや厚みむらに追従できず面内均一性が悪化します。軟らかいパッドはその逆です。そのため実際には、硬質パッドと軟質のサブパッドを積層した2層構造で両者のバランスを取ります。
パッドは使用とともにグレージング(表面の目つぶれ)を起こし、スラリー保持能力と研磨レートが低下します。これを防ぐのがダイヤモンドディスクによるパッドコンディショニングで、研磨と並行して表面を微量ずつ削り続けます。パッドの寿命は数百〜千枚程度で、交換時にはブレークイン(慣らし)が必要なため、交換自体が装置の停止時間になります。
パッドの状態変化は研磨レートのドリフトとして現れ、そのままでは膜厚ばらつきになります。エンドポイント検出やAPCによる補正と組み合わせて管理するのが一般的です。供給はDuPont(旧Rohm and Haas)が大きなシェアを持ち、日本ではニッタ・デュポンやフジボウ愛媛が有力です。