研磨レート(除去レート)とは、CMPで単位時間あたりに削られる膜厚のことで、通常はnm/minで表します。CMPは所定の膜厚まで削って止めるプロセスであるため、レートの絶対値とその安定性が、そのまま膜厚ばらつきと歩留まりに変換されます。
レートの基本的な理解にはPrestonの式が使われます。除去レートは研磨圧力Pと相対速度Vの積に比例し、比例定数(Preston係数)に材料・スラリー・パッドの効果がまとめて押し込まれる、という経験式です。実際には化学反応の寄与が大きく、圧力や速度に対して線形から外れる領域も多いため、この式は「圧力と速度を上げればレートは上がる」という設計の出発点として使われます。
現実のレートを動かす要因は多岐にわたります。スラリーの砥粒濃度・pH・酸化剤濃度、パッドの表面状態(グレージングの進行度)、コンディショニングの条件、スラリーの流量と温度、そしてパターン密度です。特にパッドは使用とともに劣化するため、同じ設定でもレートは時間とともにドリフトします。
この不安定さに対処するのが、エンドポイント検出とAPC(先端プロセス制御)です。研磨中はモータ電流や光学反射の変化から終点を検出して停止し、研磨後は膜厚を実測して次のウェハの研磨時間へフィードバックします。ロットごと、ウェハごとにレートを補正することで、パッドの経時変化を吸収します。
レートは高ければよいというものでもありません。レートを上げるために圧力を上げれば、スクラッチやディッシング、low-k膜の剥離といった機械的なダメージが増えます。生産性(スループット)と欠陥・平坦性のバランスを取る点にレートの設定値が置かれます。