最終更新 2026-10-10

研磨レートとは(Prestonの式)

Removal Rate / Preston Equation

研磨レート(除去レート)とは、CMPで単位時間あたりに削られる膜厚です。除去レートは研磨圧力と相対速度の積に比例するというPrestonの式が設計の出発点ですが、実際にはスラリー組成・パッドの劣化・パターン密度が強く効くため経時的にドリフトします。エンドポイント検出と、膜厚実測を次ウェハへ返すAPCで補正するのが標準的な運用です。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

研磨レート(除去レート)とは、CMPで単位時間あたりに削られる膜厚のことで、通常はnm/minで表します。CMPは所定の膜厚まで削って止めるプロセスであるため、レートの絶対値とその安定性が、そのまま膜厚ばらつきと歩留まりに変換されます。

レートの基本的な理解にはPrestonの式が使われます。除去レートは研磨圧力Pと相対速度Vの積に比例し、比例定数(Preston係数)に材料・スラリー・パッドの効果がまとめて押し込まれる、という経験式です。実際には化学反応の寄与が大きく、圧力や速度に対して線形から外れる領域も多いため、この式は「圧力と速度を上げればレートは上がる」という設計の出発点として使われます。

現実のレートを動かす要因は多岐にわたります。スラリーの砥粒濃度・pH・酸化剤濃度、パッドの表面状態(グレージングの進行度)、コンディショニングの条件、スラリーの流量と温度、そしてパターン密度です。特にパッドは使用とともに劣化するため、同じ設定でもレートは時間とともにドリフトします。

この不安定さに対処するのが、エンドポイント検出とAPC(先端プロセス制御)です。研磨中はモータ電流や光学反射の変化から終点を検出して停止し、研磨後は膜厚を実測して次のウェハの研磨時間へフィードバックします。ロットごと、ウェハごとにレートを補正することで、パッドの経時変化を吸収します。

レートは高ければよいというものでもありません。レートを上げるために圧力を上げれば、スクラッチやディッシング、low-k膜の剥離といった機械的なダメージが増えます。生産性(スループット)と欠陥・平坦性のバランスを取る点にレートの設定値が置かれます。

図解

CMPの研磨レートを決める要因(圧力・相対速度・スラリー・パッド状態・パターン密度)とPrestonの式
式は単純だが、実際の量産ではずれを常に補正しながら使う。

関連するデータ・ツール

計算・換算ツールCMP除去速度計算ツール(Preston式)

この用語を扱う職種

前工程(ウェハプロセス)CMPエンジニア(化学機械研磨工程)

よくある質問(FAQ)

Prestonの式とは何ですか?
CMPの除去レートが研磨圧力Pと相対速度Vの積に比例するという経験式(RR = k·P·V)です。比例定数のPreston係数に材料・スラリー・パッドの効果がまとめて入ります。実際には化学反応の寄与が大きく線形から外れる領域も多いため、設計の出発点として使われます。
研磨レートはなぜ時間とともに変化するのですか?
パッドのグレージング進行、コンディショナーの摩耗、スラリーの温度・流量の変動が重なるためです。同じ設定でもレートはドリフトするため、エンドポイント検出で終点を捉え、研磨後の膜厚実測を次ウェハへ返すAPCで補正します。
研磨レートは高いほど良いのですか?
いいえ。レートを上げるために圧力を上げると、スクラッチ・ディッシング・low-k膜の剥離といった機械的ダメージが増えます。スループットと欠陥・平坦性のバランスが取れる点に設定値を置きます。

設備の製造メーカー

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 精密工学会「研磨の「見える化」に基づくメカニズム分析へのアプローチ(精密工学会誌 84巻3号)」(2026/10/10 確認)
  2. 精密工学会「半導体プロセスのCMP技術(精密工学会誌 83巻3号)」(2026/10/10 確認)