用語LED(発光ダイオード)受光素子(フォトダイオード)最終更新 2026-10-09Excel・PDF版

励起子(エキシトン)とは

Exciton

励起子(エキシトン)とは、光などで生じた電子と正孔がクーロン力で引き合ってペアになった、電気的に中性の状態です。束縛エネルギーはシリコンで約15meVと小さく室温ではすぐ分かれますが、ZnOや二次元材料、有機半導体では室温でも安定です。吸収・発光のピークとして現れ、有機ELや有機太陽電池の設計の中心になります。

目次5項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 関連用語
  5. 比較・違いを学ぶ

定義・解説

励起子(エキシトン)とは、光などで励起された電子と、その抜け跡の正孔が、クーロン力で引き合ってペアになった状態です。水素原子で陽子のまわりを電子が回っているのに似た姿で、全体としては電気的に中性のまま結晶の中を動き回ります。

電子と正孔を引き離すのに必要なエネルギー(束縛エネルギー)は材料によって大きく違い、シリコンで約15meV、GaAsで約4meV、GaNで約25meV、ZnOで約60meVです。室温の熱エネルギー(約26meV)より小さい材料では、励起子はすぐにばらばらになるため、低温でしか目立ちません。一方、ZnOや二次元材料(MoS2など数百meV)、有機半導体では室温でも励起子が安定に存在します。

励起子はデバイスの動作に直接かかわります。励起子が作られるとバンドギャップのすぐ下に鋭い吸収や発光のピークが現れ、フォトルミネセンス測定で材料の品質を調べる手がかりになります。有機EL・有機太陽電池では、光や電流で生じるのが主に励起子なので、電子と正孔に分ける(太陽電池)、効率よく光に変える(有機EL)ための材料設計が中心課題になっています。

図解

GaAs・シリコン・ZnO・二次元材料の励起子の束縛エネルギーと室温の熱エネルギーの比較
値は代表的な目安。二次元材料は周りの環境で大きく変わる。

よくある質問(FAQ)

励起子はなぜ電気を運ばないのですか?
マイナスの電子とプラスの正孔がペアになっていて、全体として電気的に中性だからです。電流として取り出すには、励起子を電子と正孔に分ける必要があります。有機太陽電池では、性質の違う2つの材料の界面で励起子を分けています。
励起子の束縛エネルギーが大きいと何が良いのですか?
室温でも励起子が分かれずに残るため、励起子からの発光を利用できます。ZnOや二次元材料が発光素子の材料として研究されるのはこのためです。逆に、太陽電池では束縛エネルギーが大きいと電子と正孔を分けるのにエネルギーが要り、不利になります。

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