RTP(Rapid Thermal Processing/急速熱処理)は、タングステンハロゲンランプや他の光源を用いてウェハを数秒〜数十秒という短時間で数百〜1200℃まで急速に加熱・冷却する熱処理装置・プロセスの総称です。従来の拡散炉(バッチ式)が数十分〜数時間かけてウェハを加熱するのに対し、RTPは処理時間を劇的に短縮することで、ドーパントや膜の拡散を最小限に抑えながら目的の熱処理効果を得られます。
RTPの主な用途は、イオン注入後のドーパント活性化アニール(スパイクアニール:数秒以内の処理でドーパントを結晶格子の置換位置に配置)、シリサイド形成(TiSi₂・CoSi₂・NiSiなどのセルフアライン・シリサイド形成)、酸化膜の急速熱酸化(RTO)、ゲート酸化膜の窒化(RTN)、メタル膜のアニール(抵抗低減)などです。
RTPの温度測定には非接触式のパイロメーター(放射温度計)が使われます。ウェハの放射率(Emissivity)が材料・膜構成によって異なるため、温度計測の精度確保が重要な技術課題です。ウェハ面内の温度均一性(±1℃以下)はドーパント活性化の均一性に直結するため、ランプの配置や制御アルゴリズムに工夫が凝らされます。
フラッシュランプアニール(FLA:Flash Lamp Anneal)は、ミリ秒以下のパルス光照射で表面のみを超高速加熱する技術で、先端ロジック(3nm以下)の浅接合形成に使われます。レーザーアニール(LSA:Laser Spike Anneal)はさらに短時間(マイクロ秒〜ナノ秒)の局所加熱を可能にし、ソース・ドレインのドーパント超活性化に採用されています。
RTP装置の主要メーカーはApplied Materials(Vantage RadianceおよびVantage Naura)が市場をリードしており、Mattson Technology(現在はYidinghenglong傘下)、Screen Semiconductor Solutions、JTEKT(旧光洋サーモシステム)などが続きます。微細化とともにRTPの温度制御精度・再現性への要求は年々厳しくなっています。