最終更新 2026-10-19

ドーズ量とは(注入量)

Implant Dose

ドーズ量とは、イオン注入でウェハ単位面積あたりに打ち込むイオンの総数(atoms/cm²)です。加速エネルギーが「どの深さに入れるか」を決めるのに対し、ドーズ量は「どれだけ入れるか」を決めます。制御はファラデーカップで測ったビーム電流の時間積分、つまり電荷を数えることで行い、しきい値調整の10¹¹台からソース/ドレインの10¹⁶台まで工程ごとに桁が異なります。

目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連する製品
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

ドーズ量(注入量)とは、イオン注入でウェハ単位面積あたりに打ち込むイオンの総数で、単位はatoms/cm²です。加速エネルギーが「どの深さに入れるか」を決めるのに対し、ドーズ量は「どれだけ入れるか」を決めるパラメータで、この2つを独立に制御できることがイオン注入が熱拡散を置き換えた最大の理由です。

実際の制御は電流の積算で行われます。ウェハに到達したイオンビームの電流をファラデーカップで測定し、時間積分した電荷量を電荷数で割ればイオン数が求まります。目標のドーズ量に達した時点でビームを止めるため、注入は本質的に「電荷を数える」プロセスです。ここで問題になるのが二次電子とチャージアップで、絶縁膜上に電荷が溜まるとビーム電流の測定値がずれ、同時にゲート絶縁膜の破壊(チャージングダメージ)も招くため、電子シャワーで中和しながら注入します。

工程ごとのドーズ量は桁で異なります。しきい値電圧を調整するチャネルドーピングは10¹¹〜10¹²atoms/cm²の低ドーズ、ウェル形成は10¹²〜10¹³、ソース/ドレインやコンタクト部の高濃度層は10¹⁵〜10¹⁶atoms/cm²の高ドーズです。この差が装置の使い分けに直結し、低〜中ドーズには中電流機、高ドーズには高電流機が使われます。

高ドーズ注入では、ドーズ量を上げるほどシリコン結晶が破壊されてアモルファス化が進みます。適度なアモルファス化はチャネリングを抑えて分布を揃える利点がありますが、過剰になればアニールしても回復しきれず、EOR(End of Range)欠陥として残って接合リークの原因になります。ドーズ量は電気特性だけでなく、結晶ダメージの量も同時に決めています。

面内均一性も重要な管理項目です。ビームをウェハ全面に走査(あるいはウェハを機械走査)して注入するため、走査速度のむらがそのままドーズ量のばらつきになります。注入結果は最終的にアニール後のシート抵抗として測定され、面内マップの形で均一性が評価されます。

図解

イオン注入の工程ごとのドーズ量の範囲(しきい値調整・ウェル・LDD・ソースドレイン)
エネルギーは深さ、ドーズは量。この2つでイオン注入の条件が決まる。範囲は目安。

関連するデータ・ツール

計算・換算ツールイオン注入プロファイル計算ツール(Rp・ピーク濃度・接合深さ)

この用語を扱う職種

前工程(ウェハプロセス)イオン注入・熱処理エンジニア

よくある質問(FAQ)

ドーズ量はどうやって制御するのですか?
ウェハに到達したイオンビームの電流をファラデーカップで測定し、時間で積分した電荷量から打ち込まれたイオン数を算出します。目標値に達した時点でビームを止めるため、イオン注入は本質的に「電荷を数える」プロセスです。
工程によってドーズ量はどのくらい違いますか?
しきい値電圧を調整するチャネルドーピングが10¹¹〜10¹²atoms/cm²、ウェル形成が10¹²〜10¹³、ソース/ドレインやコンタクト部の高濃度層が10¹⁵〜10¹⁶atoms/cm²と、工程によって桁で異なります。この差が高電流機と中電流機の使い分けに直結します。
チャージアップはなぜ問題になるのですか?
絶縁膜上に電荷が溜まるとビーム電流の測定値がずれてドーズ量が狂ううえ、電位差でゲート絶縁膜が破壊されるチャージングダメージを招くためです。電子シャワーで正電荷を中和しながら注入するのが標準的な対策です。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

VIISta TridentApplied Materials・高電流イオン注入装置
Purion HAxcelis Technologies・高電流イオン注入装置
SHX-Ⅲ住友重機械イオンテクノロジー・高電流イオン注入装置
EXCEED3000AH日新イオン機器・中電流イオン注入装置
Therma-Probe® 680XPKLA・イオン注入量測定装置
VIISta 900XPApplied Materials・中電流イオン注入装置
Therma-Probe® 780KLA・イオン注入量測定装置
VIISta® PLADApplied Materials・プラズマドーピング装置

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

イオン注入・熱処理 のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

PSK Holdings韓国Kokusai Electric(国際電気)日本Mattson Technology米国ウシオ電機日本Veeco Instruments米国ニューフレアテクノロジー日本

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. Applied Materials「VIISta Trident 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  2. Axcelis Technologies「Purion H 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  3. 住友重機械イオンテクノロジー「SHX-Ⅲ 製品ページ」(2026/10/07 確認)