ドーズ量(注入量)とは、イオン注入でウェハ単位面積あたりに打ち込むイオンの総数で、単位はatoms/cm²です。加速エネルギーが「どの深さに入れるか」を決めるのに対し、ドーズ量は「どれだけ入れるか」を決めるパラメータで、この2つを独立に制御できることがイオン注入が熱拡散を置き換えた最大の理由です。
実際の制御は電流の積算で行われます。ウェハに到達したイオンビームの電流をファラデーカップで測定し、時間積分した電荷量を電荷数で割ればイオン数が求まります。目標のドーズ量に達した時点でビームを止めるため、注入は本質的に「電荷を数える」プロセスです。ここで問題になるのが二次電子とチャージアップで、絶縁膜上に電荷が溜まるとビーム電流の測定値がずれ、同時にゲート絶縁膜の破壊(チャージングダメージ)も招くため、電子シャワーで中和しながら注入します。
工程ごとのドーズ量は桁で異なります。しきい値電圧を調整するチャネルドーピングは10¹¹〜10¹²atoms/cm²の低ドーズ、ウェル形成は10¹²〜10¹³、ソース/ドレインやコンタクト部の高濃度層は10¹⁵〜10¹⁶atoms/cm²の高ドーズです。この差が装置の使い分けに直結し、低〜中ドーズには中電流機、高ドーズには高電流機が使われます。
高ドーズ注入では、ドーズ量を上げるほどシリコン結晶が破壊されてアモルファス化が進みます。適度なアモルファス化はチャネリングを抑えて分布を揃える利点がありますが、過剰になればアニールしても回復しきれず、EOR(End of Range)欠陥として残って接合リークの原因になります。ドーズ量は電気特性だけでなく、結晶ダメージの量も同時に決めています。
面内均一性も重要な管理項目です。ビームをウェハ全面に走査(あるいはウェハを機械走査)して注入するため、走査速度のむらがそのままドーズ量のばらつきになります。注入結果は最終的にアニール後のシート抵抗として測定され、面内マップの形で均一性が評価されます。