シート抵抗とは、薄い導電層の抵抗を「膜厚で規格化しない」形で表した量で、単位はΩ/sq(オーム・パー・スクエア)です。抵抗率ρを膜厚tで割った値(ρ/t)に等しく、正方形の領域であれば大きさによらず同じ値になるという性質を持ちます。拡散層・注入層・金属薄膜・シリサイドなど、面方向に電流が流れる層の評価指標として使われます。
半導体製造でシート抵抗が重要なのは、イオン注入とアニールの結果をまとめて反映する指標だからです。注入したドーパントのうち何割が電気的に活性化したか、アニールでどれだけ拡散したかは、個別に測るのが難しい一方、シート抵抗という1つの量に集約されて現れます。そのため注入・熱処理工程のモニタとして、ロットごとにモニタウェハを流して測定するのが定番の運用です。
測定は四探針法(4-point probe)が標準です。等間隔に並べた4本の針のうち外側2本から電流を流し、内側2本で電圧を測ることで、探針と試料の接触抵抗を除いた真の抵抗を得ます。得られた値に試料形状で決まる補正係数(無限に広い薄膜では約4.53)を掛けてシート抵抗を求めます。針を当てるため測定痕が残り、製品ウェハには使えないのが難点です。
そこで製品ウェハには非接触の手法が使われます。光の吸収による熱波や、キャリア励起に伴う反射率変化を利用する光学式の測定装置(サーマウェーブ系)が代表で、注入ダメージ量やドーズ量の相対変化をウェハを傷つけずにマップとして取得できます。ドーズ量の面内均一性は、こうしたマップで日常的に管理されます。
配線工程でもシート抵抗は使われます。銅配線やバリアメタル、シリサイドの膜厚と品質の指標として測定され、設計側の抵抗値見積もりと突き合わせられます。膜厚計測やCD計測と並ぶ、前工程の基本的な電気的モニタ手法です。