ドーパント活性化(Dopant Activation)は、イオン注入によってシリコン結晶格子内に導入されたドーパント原子(ヒ素・リン・ボロンなど)を電気的に活性な状態にするプロセスです。イオン注入直後のドーパントは格子間(interstitial)や複合欠陥の状態にあり電気的に不活性なため、熱処理(アニール)によって格子位置(substitutional site)に移動させ、初めてキャリア(電子または正孔)として機能します。
ドーパント活性化の熱処理方式には、①RTP(急速熱処理)スパイクアニール(900〜1100℃で秒オーダー)、②フラッシュランプアニール(ミリ秒オーダー)、③レーザーアニール(マイクロ秒〜ナノ秒)があります。先端FinFET・GAA(Gate-All-Around)プロセスでは熱拡散を最小化しながら高い活性化率を得るため、より短時間・高温のアニールが採用されています。
活性化率(活性化したドーパント÷注入総量)と拡散量(ドーパントが動く距離)はトレードオフの関係にあります。高温長時間処理は活性化率が高いが拡散が大きくなり、精密に制御したジャンクション深さが崩れます。レーザーアニール(DSA:Diffusionless Spike Anneal)は数百ns以下の超短時間で溶融・再結晶化させることで、実質的な拡散なしに高活性化率(>90%)を達成できます。
ドーパント活性化の計測には、四探針法(シート抵抗測定)、SIMS(二次イオン質量分析:濃度プロファイル評価)、CV法(キャパシタンス-電圧:活性キャリア分布)が使われます。活性化率のin-situ(プロセス中)モニタリング技術も開発されており、装置制御へのフィードバックが進んでいます。
先端ノード(3nm・2nm・GAA)では、ソース/ドレインのエピタキシャル成長層(SiGeソース/ドレイン)へのドーピング(エピタキシャル成長中のin-situドーピング)も重要な活性化手法です。エピ成長中にドーパント(ボロン等)を導入することで、イオン注入+活性化アニールに比べて格子ダメージを低減しつつ高濃度活性化を実現します。