ドーパント活性化とは

Dopant Activation

最終更新:2026-10-07・イオン注入装置・熱処理装置|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

定義・解説

ドーパント活性化(Dopant Activation)は、イオン注入によってシリコン結晶格子内に導入されたドーパント原子(ヒ素・リン・ボロンなど)を電気的に活性な状態にするプロセスです。イオン注入直後のドーパントは格子間(interstitial)や複合欠陥の状態にあり電気的に不活性なため、熱処理(アニール)によって格子位置(substitutional site)に移動させ、初めてキャリア(電子または正孔)として機能します。

ドーパント活性化の熱処理方式には、①RTP(急速熱処理)スパイクアニール(900〜1100℃で秒オーダー)、②フラッシュランプアニール(ミリ秒オーダー)、③レーザーアニール(マイクロ秒〜ナノ秒)があります。先端FinFET・GAA(Gate-All-Around)プロセスでは熱拡散を最小化しながら高い活性化率を得るため、より短時間・高温のアニールが採用されています。

活性化率(活性化したドーパント÷注入総量)と拡散量(ドーパントが動く距離)はトレードオフの関係にあります。高温長時間処理は活性化率が高いが拡散が大きくなり、精密に制御したジャンクション深さが崩れます。レーザーアニール(DSA:Diffusionless Spike Anneal)は数百ns以下の超短時間で溶融・再結晶化させることで、実質的な拡散なしに高活性化率(>90%)を達成できます。

ドーパント活性化の計測には、四探針法(シート抵抗測定)、SIMS(二次イオン質量分析:濃度プロファイル評価)、CV法(キャパシタンス-電圧:活性キャリア分布)が使われます。活性化率のin-situ(プロセス中)モニタリング技術も開発されており、装置制御へのフィードバックが進んでいます。

先端ノード(3nm・2nm・GAA)では、ソース/ドレインのエピタキシャル成長層(SiGeソース/ドレイン)へのドーピング(エピタキシャル成長中のin-situドーピング)も重要な活性化手法です。エピ成長中にドーパント(ボロン等)を導入することで、イオン注入+活性化アニールに比べて格子ダメージを低減しつつ高濃度活性化を実現します。

図解

ドーパント活性化の流れ(注入直後・アニール・格子位置への置換・キャリア供給)
活性化率は、加えた原子のうち実際にキャリアを出している割合。

関連するデータ・ツール

計算ツールシート抵抗・抵抗率計算ツール(4探針法・濃度換算)計算ツールイオン注入プロファイル計算ツール(Rp・ピーク濃度・接合深さ)計算ツール不純物拡散(拡散係数・接合深さ)計算ツール

この用語を扱う職種

前工程(ウェハプロセス)イオン注入・熱処理エンジニア設計・デバイス開発TCADエンジニア(プロセス・デバイスシミュレーション)

設備の製造メーカー

Applied Materials米国

世界最大の半導体製造装置サプライヤー。成膜、除去、改質、分析の包括的な製品ポートフォリオで、ウェーハ製造の全工…

Mattson Technology米国

急速熱処理(RTP)・ドライストリップ(プラズマアッシャー)の専業装置メーカー。先端ロジック・メモリのゲート形…

Kokusai Electric(国際電気)日本

バッチ式縦型CVD・熱処理装置の世界的リーダー。酸化・窒化・ALD成膜を高スループットで実現し、DRAM・NA…

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

A400 DUOASMインターナショナル・拡散炉

デバイスの製造メーカー

TSMC(台湾積体電路製造)台湾

世界最大の半導体ファウンドリ。3nm、5nm、7nmなど最先端プロセスノードで業界をリード。Apple、NVI…

Samsung Electronics(サムスン電子)韓国

世界最大のメモリメーカーであり、先端ロジックファウンドリでもあるIDM。DRAM・NANDフラッシュで市場をリ…

Intel米国

世界最大のCPUメーカー。従来はIDMとして自社プロセスでCPUを製造してきたが、Intel Foundry …

関連カテゴリ

同じトピックの用語

イオン注入・熱処理 のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

Axcelis Technologies米国住友重機械イオンテクノロジー日本日新イオン機器日本PSK Holdings韓国ウシオ電機日本Veeco Instruments米国

比較・違いを学ぶ

レーザーアニールとRTP(急速熱処理)の違い
RTP(Rapid Thermal Processing)はハロゲンランプで基板全体を数秒〜数十秒で1000°C以上に急速加熱するのに対し、レーザーアニール(L…
→
イオン注入と熱拡散の違い(不純物導入プロセスの比較)
イオン注入(Ion Implantation)は不純物(ドーパント)をイオン化・加速して基板に物理的に打ち込む方法で、ドーズ量と加速エネルギーにより濃度と接合深…
→
スパイクアニールとフラッシュランプアニールの違い
イオン注入したドーパントを活性化するには高温が要りますが、高温に留まればドーパントが拡散して接合が深く広がってしまいます。この矛盾をどう解くかが活性化アニールの…
→
ビームライン式イオン注入とプラズマドーピングの違い
どちらもウェハにドーパントを打ち込む手法ですが、イオンの届け方が根本的に違います。ビームライン式は「選別したイオンを一本のビームにして走査する」、PLADは「プ…
→

出典・参考資料

  1. ASMインターナショナル「A400 DUO 製品ページ」(2026/10/07 確認)
← 用語集に戻る用語集をExcel・PDFで使う →