比誘電率一覧(半導体材料)
最終更新:2026-10-03
要点
比誘電率(k値)は、絶縁体が電荷を蓄えやすいかを真空に対する比で表した値で、SiO₂は3.9、窒化シリコンは約7、HfO₂は20〜25、配線用の低誘電率膜は2〜3程度です。ゲート絶縁膜には大きな容量を得るため誘電率の大きいHigh-k膜を、配線の間には遅延を減らすため誘電率の小さいLow-k膜を使います。
主な材料の比誘電率(k値)
| 分類 | 材料 | 比誘電率(目安) | 半導体での主な用途 |
|---|---|---|---|
| 基準 | 真空 | 1 | 定義の基準 |
| 基準 | 空気 | 約1.0 | エアギャップ配線 |
| 低誘電率膜 | 多孔質低誘電率膜(ポーラスSiOC) | 2.0〜2.5 | 先端の配線層間絶縁膜 |
| 低誘電率膜 | SiOC(CDO) | 2.7〜3.0 | 配線層間絶縁膜 |
| 低誘電率膜 | FSG(フッ素添加酸化膜) | 3.5〜3.7 | かつての配線層間絶縁膜 |
| 酸化膜 | SiO₂(熱酸化膜) | 3.9 | ゲート絶縁膜(旧)・素子分離・層間絶縁膜。k値の基準 |
| 樹脂 | ポリイミド | 3.0〜3.5 | パッシベーション・再配線層 |
| 樹脂 | PTFE(フッ素樹脂) | 約2.1 | 高周波基板 |
| 基板 | FR-4(ガラスエポキシ) | 4.2〜4.8 | プリント基板 |
| 窒化膜 | Si₃N₄(窒化シリコン) | 6.5〜7.5 | ハードマスク・パッシベーション・ストッパー |
| High-k | Al₂O₃(アルミナ) | 約9 | キャパシタ・ゲート絶縁膜の一部 |
| High-k | HfO₂(酸化ハフニウム) | 20〜25 | HKMGのゲート絶縁膜 |
| High-k | ZrO₂(酸化ジルコニウム) | 25〜30 | DRAMのキャパシタ |
| High-k | Ta₂O₅(酸化タンタル) | 22〜25 | キャパシタ |
| High-k | TiO₂(酸化チタン) | 40〜80以上 | 研究用の高誘電率キャパシタ |
| 半導体 | Si(シリコン) | 11.7 | 空乏層容量の計算 |
| 半導体 | Ge(ゲルマニウム) | 16 | SiGeチャネル |
| 半導体 | GaAs | 12.9 | 高周波デバイス |
| 半導体 | GaN | 約9 | パワー・高周波デバイス |
| 半導体 | 4H-SiC | 約9.7 | パワーデバイス |
| その他 | 水 | 約80 | 誘電率の大きい液体の例 |
大きい誘電率と小さい誘電率の使い分け
誘電率は、絶縁体が電荷を蓄えやすいかを表し、同じ厚さなら誘電率が大きいほどコンデンサの容量が大きくなります。トランジスタのゲート絶縁膜には、薄くしすぎずに大きな容量を得るため誘電率の大きいHigh-k膜を、配線の間の絶縁膜には、配線どうしの容量を減らして信号の遅延と消費電力を抑えるため誘電率の小さいLow-k膜を使います。
High-k膜の電気的な厚さは、SiO₂の比誘電率3.9に換算した等価酸化膜厚(EOT)で表し、EOT=物理膜厚×3.9÷比誘電率で求めます。たとえば比誘電率20のHfO₂を2nm付けると、EOTは約0.4nmになります。MOS構造の容量はMOSキャパシタ計算ツールで試算できます。