社内IT・OTセキュリティエンジニア(半導体)
半導体メーカーの社内IT・OTセキュリティエンジニアは、事務所の情報システムと、工場で動く製造装置・制御システム(OT)の両方を守る職種です。半導体工場は数百台の装置がネットワークでつながって自動運転されており、1台の感染がライン全体の停止につながります。止めれば仕掛かり中のウェハが失われるため、「装置を止めずに守る」という一般的なITとは逆向きの制約の中で設計することになります。
仕事内容
工場ネットワークの分離設計
製造装置・搬送システム・計測系・遠隔保守の経路を区画に分け、区画をまたぐ通信を必要な分だけに絞ります。装置そのものを作り替えられないため、まず周りのネットワークで守るのが基本になります。IEC 62443 の「ゾーンとコンジット」が設計の共通言語です。
レガシー装置への対策
サポートの切れたOSで動く装置が工場に多数残ります。更新すると制御ソフトが動かず工程の再認定が要るため、USBポートの封鎖、許可したソフトだけを動かす仕組み、専用区画への隔離といった、入れ替えない前提の対策を組み立てます。
装置の受け入れとセキュリティ要件
新規装置の購入仕様書に SEMI E187 の要件を書き込み、搬入時には SEMI E188 に沿って装置メーカーが持ち込む機器をスキャンします。調達・装置エンジニアと組んで、契約と現場手順の両方に落とし込みます。
インシデント対応と事業継続
感染を検知したときに、どの区画をどの順で切り離すか、生産をどう止めるかを事前に決めておきます。実際に止まった場合の復旧手順と、仕掛かりウェハの扱いまで含めて製造部門と合意しておくのがこの職種の責任範囲です。
担当する工程・装置
必要になる知識・用語
主な企業
よくある質問
一般企業の情報システム部門と何が違いますか?
守る対象に生産ラインが含まれる点です。ITでは情報が漏れないことが最優先ですが、OTでは装置が止まらないことが最優先になります。パッチの即時適用や自動再起動といったITの常識がそのまま使えず、生産計画と調整しながら対策を打つことになります。
半導体の工程知識は必要ですか?
入口では不要で、IT・ネットワーク・セキュリティの経験から入る人が多い職種です。ただし「この装置を止めると何が失われるか」を判断するには工程の知識が要るため、入社後に製造部門と同じ言葉で話せるようになることが求められます。
なぜ半導体業界でこの職種の採用が増えているのですか?
2018年にTSMCの複数工場がマルウェア感染で停止し、四半期売上に影響が出た事例が転機になりました。以降、業界団体SEMIが装置向けの規格を整備し、顧客が装置メーカーにセキュリティ要件を求めるようになったため、両側で人材が必要になっています。