IEC 62443とは、工場やプラントの制御システムを守るための国際規格群です。半導体に限らず、電力・化学・自動車など産業全般の制御システムを対象としており、装置を作る側、システムを組む側、運用する側それぞれの責任範囲を分けて要件を定めているのが特徴です。半導体のSEMI E187も、この規格の考え方を土台にしています。
中心にある考え方が「ゾーンとコンジット」です。工場のネットワークを、守るべき重要度に応じた区画(ゾーン)に分け、区画をまたぐ通信経路(コンジット)だけを管理する、という設計の仕方を示しています。あわせて、求められる防御の強さをセキュリティレベル(SL1〜SL4)として段階的に定義しており、どこまで守るかを費用と相談しながら決められるようになっています。
半導体工場でこの規格が効くのは、装置そのものを作り替えられない場面です。古い装置を入れ替えずに守るには、ネットワークの区画を切って通信を絞るしかありません。工場のIT部門とCIM部門が、どのゾーンにどの装置を置くかを設計するときの共通言語として使われます。