GLOSSARY

サファイア基板とは

Sapphire Substrate
最終更新:2026-08-17化合物半導体基板製造装置(SiC/GaN)化合物半導体

サファイア基板とは?

サファイア基板とは、単結晶アルミナを加工した基板で、GaN系青色LEDの成長基板として白色LED産業を支えてきました。格子不整合16%と低い熱伝導率が課題ですが、低温バッファ層とELOで転位を抑えて実用化されました。現在は表面に錐状パターンを形成して転位を曲げつつ光取り出し効率も高めるPSS(パターンドサファイア基板)が標準です。

定義・解説

サファイア基板とは、単結晶アルミナ(α-Al₂O₃)を加工した基板で、GaN系青色LEDの成長基板として最も広く使われてきた材料です。GaN自立基板が高価で入手困難だった時代に、格子不整合を抱えながらもGaNを成長させられる実用的な選択肢として量産を支え、白色LED産業の基盤となりました。

製造は、キロラムスキー法(Kyropoulos法)やEFG法、ヒートエクスチェンジャー法などで大型の単結晶ブールを育成し、それをコアドリルで円筒状に抜き、ワイヤーソーでスライスしてからラッピング・研磨で仕上げます。モース硬度9という極めて硬い材料のため、切断・研磨には時間とダイヤモンド砥粒が必要で、加工コストが価格の大きな部分を占めます。

GaN成長基板としての課題は、格子定数差(約16%)と熱膨張差、そして低い熱伝導率です。低温バッファ層(低温GaNまたはAlN)を挟むELO(横方向成長)などの技術で転位密度を下げて実用化されましたが、放熱性の悪さは高出力デバイスでの制約になります。また絶縁体であるため、電極を上面に取り出す横型構造が必要になります。

表面には、成長するGaNの品質を上げるための微細加工が施されるのが一般的です。PSS(Patterned Sapphire Substrate:パターンドサファイア基板)は、表面に数μmの錐状パターンを形成して転位を横方向に曲げ、同時に光の取り出し効率を高める技術で、現在のLED用サファイア基板の標準になっています。

近年は、GaN-on-SiやGaN自立基板、SiC基板との競合が進み、用途ごとの棲み分けが明確になってきました。それでも、コストと成熟度の面で一般照明・バックライト向けLEDではサファイアが主力を維持しており、マイクロLED向けの新たな需要も生まれています。基板からLEDまで一貫生産する日亜化学工業などが代表的なプレイヤーです。

よくある質問(FAQ)

なぜLEDにサファイア基板が使われてきたのですか?
GaN自立基板が高価で入手困難だった時代に、格子不整合を抱えながらも低温バッファ層やELO(横方向成長)といった技術でGaNを成長させられる、実用的で安価な選択肢だったためです。これが白色LEDの量産を可能にしました。
PSS(パターンドサファイア基板)とは何ですか?
表面に数μmの錐状パターンを形成したサファイア基板です。成長するGaNの転位を横方向に曲げて低減すると同時に、パターンが光を散乱させてLEDの光取り出し効率も高めるため、現在のLED用サファイア基板の標準になっています。
サファイア基板の弱点は何ですか?
熱伝導率が低く放熱に不利なため高出力デバイスでは制約になること、絶縁体なので電極を上面に取り出す横型構造が必要になること、そしてモース硬度9という硬さゆえに切断・研磨の加工コストが高いことです。

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