最終更新 2026-10-07

縮退故障モデルとは

Stuck-At Fault Model

縮退故障モデルとは、信号線が入力によらず論理0または1に固定されるという単純化した故障の想定です。物理欠陥を論理レベルへ抽象化することで故障リストを列挙可能にし、大規模回路でもATPGが現実的な時間で解けるようにします。時間の概念を持たないためタイミング不良は表現できず、遷移故障やブリッジ故障モデルで補完されます。

目次6項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ

定義・解説

縮退故障モデル(スタックアットフォルト)とは、回路中のある信号線が入力に関係なく論理0または論理1に固定されてしまう、という単純化した故障の想定です。実際の物理的欠陥は配線の断線・短絡・トランジスタの特性劣化など多様ですが、それらを「線が0または1に張り付く」という論理レベルの記述に抽象化することで、テストパターン生成を計算可能な問題に落とし込みます。

このモデルが長く使われてきたのは、抽象度と実用性のバランスが良いためです。故障の種類が信号線1本につき2つ(0縮退・1縮退)に限られるため、大規模回路でも故障リストを列挙でき、ATPGツールが現実的な時間でパターンを探索できます。しかも、縮退故障を検出できるパターンは実際の物理欠陥の多くを副次的に捕まえるという経験則があります。

一方で限界も明確です。縮退故障モデルは時間の概念を持たないため、「動くけれど規定の周波数では間に合わない」というタイミング不良を表現できません。また、2本の配線が短絡して互いに影響し合うブリッジ故障や、リーク電流の増大といった不良も、このモデルの外にあります。

そこで補完的な故障モデルが併用されます。遷移故障モデルは信号の立ち上がり・立ち下がりが遅れる不良を想定し、実速度(At-Speed)テストで検出します。パスディレイ故障モデルはクリティカルパス全体の遅延を対象にします。ブリッジ故障モデルは配線間の短絡を、IDDQテストは静止時電流の異常を捉えます。

微細化が進むにつれ、縮退故障だけでは市場品質を保証できなくなり、遷移故障を含めたマルチモデルのカバレッジ確保が標準になりました。とはいえ縮退故障は今もテスト品質を語る際の共通言語であり、カバレッジといえばまずこのモデルでの数字が示されます。

図解

縮退故障モデルと遷移故障モデルの比較
単純なモデルにすることで、大きな回路でもATPGが現実的な時間で解ける。

関連するデータ・ツール

計算・換算ツール故障検出率と出荷不良率(DPPM)計算ツール

この用語を扱う職種

設計・デバイス開発DFTエンジニア(テスト容易化設計)

よくある質問(FAQ)

なぜ実際の欠陥ではなく単純化したモデルを使うのですか?
計算可能にするためです。信号線1本につき0縮退・1縮退の2つに限れば大規模回路でも故障を列挙でき、ATPGが現実的な時間で解けます。しかも縮退故障を検出するパターンは、実際の物理欠陥の多くを副次的に捕まえるという経験則があります。
縮退故障モデルの限界は何ですか?
時間の概念を持たないことです。「動くけれど規定周波数では間に合わない」というタイミング不良を表現できません。配線間短絡のブリッジ故障やリーク増大も範囲外で、遷移故障・パスディレイ故障・IDDQテストで補完します。

設備の製造メーカー

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