故障カバレッジ(テストカバレッジ)とは、想定した故障モデルのうち、そのテストパターンで検出できる割合を示す指標です。たとえば縮退故障カバレッジ99%とは、回路中に定義しうる縮退故障のうち99%を検出できることを意味します。テスト品質を定量化する最も基本的な数値です。
重要なのは、カバレッジが「想定した故障モデルの範囲内での話」だという点です。縮退故障カバレッジが100%でも、タイミング起因の不良や微小なリーク不良は検出できません。そのため実務では、縮退故障・遷移故障・ブリッジ故障といった複数のモデルに対してそれぞれカバレッジを確保し、さらにIDDQテストやSLT(システムレベルテスト)を組み合わせて漏れを塞ぎます。
カバレッジの数字は出荷品質に直結します。検出できなかった不良は「テストエスケープ」として市場に流出し、DPPM(100万個あたりの不良数)として現れます。おおまかには、カバレッジを99%から99.9%へ上げれば流出は1桁下がるという関係にあり、車載のように極めて低いDPPMが要求される用途ではカバレッジの最後の0.1%を詰める投資が正当化されます。
カバレッジを上げるにはコストがかかります。パターン数が増えてテスト時間が延び、DFT回路の追加でチップ面積と消費電力が増えます。テスト不能な故障(回路構造上、外部から制御も観測もできない箇所)を減らすには設計そのものの見直しが必要です。どこまで詰めるかは、製品の要求品質とテストコストのバランスで決まります。
設計段階ではEDAツールがカバレッジを算出し、目標に達しない場合はDFT構造の追加やテストポイント挿入といった対策を打ちます。カバレッジは設計品質のレビュー項目でもあり、目標値の未達はテープアウトを止める判断材料になります。