KGD(Known Good Die:既知良品ダイ)は、ウェハ状態またはダイ単体での電気テスト・バーンインなどを経て、動作保証が確認された良品のベアダイ(パッケージングされていない半導体チップ)のことです。先進パッケージングやマルチチップモジュール(MCM)において、複数のダイを統合する前に個々のダイが良品であることを保証するために不可欠な概念です。
KGDが重要になった背景には、チップレット・3D IC・HBMの普及があります。複数の高価なダイを積層・接合した後に不良が判明した場合、良品ダイまで廃棄となる「パッケージ歩留まりの低下」が大きなコスト損失となります。たとえばNVIDIA H100では1基のモジュールに高価なGPUダイとHBMスタックが接合されており、事前のKGD選別が全体コストを左右します。
KGD選別のプロセスは、(1)ウェハプローバーとATEによる電気的テスト(DC特性・機能テスト・速度テスト)、(2)高温バーンイン(ウェハバーンインまたはダイバーンイン)による初期不良の除去、(3)オプションとして低温テストによる極端なパラメトリック外れ品の排除、(4)ウェハマップへの良品・不良品の記録(ウェハマップデータ)という流れで実施されます。
KGD関連の技術課題には、微細ピッチ・薄型ダイへの対応があります。先端ノード(3nm以下)のロジックダイは機械的に脆弱で、ウェハプローブ時のコンタクト荷重管理や、ダイシング後のハンドリングにおけるチッピング防止が求められます。また、ハイブリッドボンディングで積層されるセンサー・SRAM・ロジックダイは超微細ピッチ(<10μm)への対応が必要です。
KGD市場の成長ドライバーはHBM・CoWoS・SoIC・Foveros等の先進パッケージング需要の拡大です。TSMCのCoWoSやIntelのForverosが量産拡大する中、ウェハバーンイン装置(AEHR Test Systems等)、ウェハレベルテスト向けプローブカード(FormFactor・日本電子材料等)、KGD選別ソフトウェア(PDF Solutions等)の市場が拡大しています。