熱酸化膜厚計算ツール(Deal-Groveモデル)
最終更新:2026-09-21
要点
シリコンの熱酸化膜厚は、Deal-Groveモデルの x² + Ax = B(t+τ) で計算できます。薄いうちは膜厚が時間に比例し(直線則)、厚くなると時間の平方根に比例します(放物線則)。ウェット酸化はドライ酸化の5〜10倍速く、(100)面・1000℃で1時間ならドライで約40nm、ウェットで約400nmが目安です。
入力
酸化膜厚38.5nm
目標 100 nm までの所要時間3.19 時間(191 分)
消費されるシリコン厚(膜厚×0.44)16.9nm
放物線速度定数 B0.01043µm²/h
直線速度定数 B/A0.04486µm/h
A0.2326µm
係数はDeal & Grove(1965)の1気圧・低ドープ基板の値です。高濃度にドープされた基板、塩素添加(HCl酸化)、高圧酸化、パイロジェニック酸化のH₂/O₂比などでは速度が変わるため、装置ごとの実測で補正するのが前提です。
温度・時間別の膜厚早見表
| 温度 | 30分 | 1時間 | 2時間 | 4時間 |
|---|---|---|---|---|
| 900℃ | 5 nm | 9 nm | 18 nm | 35 nm |
| 1000℃ | 21 nm | 38 nm | 69 nm | 119 nm |
| 1100℃ | 59 nm | 99 nm | 158 nm | 245 nm |
| 1200℃ | 116 nm | 178 nm | 268 nm | 395 nm |
Deal-Groveモデルの考え方
熱酸化では、酸化種(O₂またはH₂O)が既にできた酸化膜の中を拡散してSi界面に届き、そこで反応して膜が成長します。膜が薄いうちは界面の反応速度が律速になり膜厚は時間に比例して増え(直線則、係数B/A)、厚くなると膜中の拡散が律速になって膜厚は時間の平方根で増えます(放物線則、係数B)。Deal-Groveモデルはこの2つを1本の式 x² + Ax = B(t+τ) にまとめたものです。
ウェット酸化はH₂OのSiO₂中への溶解度がO₂より約3桁高いため、同じ温度でドライ酸化の5〜10倍速く成長します。素子分離やフィールド酸化膜のような厚膜にはウェット、膜質が重要なゲート酸化膜や薄いパッド酸化膜にはドライが使われるのはこのためです。