縮退半導体とは、不純物を非常に多く加えたために、フェルミ準位が伝導帯や価電子帯の端に近づくか、バンドの中に入り込んだ状態の半導体のことです。不純物の密度が有効状態密度(シリコンで10¹⁹cm⁻³前後)に近づくと起こり、電子や正孔の数が多くなって、半導体というより金属に近い性質を示すようになります。
ふつうの半導体では、フェルミ準位がバンドの端から数kT以上離れているため、キャリアの分布をボルツマン分布で近似でき、キャリア密度の簡単な式が使えます。縮退すると、この近似が成り立たなくなり、フェルミ・ディラック分布をそのまま使って計算する必要があります。また、不純物の準位どうしが重なって帯になり、バンドギャップが実効的に狭くなる(バンドギャップナローイング)現象も起こります。
縮退半導体は、デバイスの中で意図的に作られます。金属の電極と半導体の接合部の不純物を縮退するほど濃くすると、障壁が非常に薄くなって電子がトンネル効果で通り抜け、抵抗の低いオーミック接触が得られます。トランジスタのソース・ドレインやポリシリコンのゲート、トンネルダイオード、ツェナーダイオードも縮退またはそれに近い濃度を使っています。