ツェナー降伏とは、pn接合に逆方向の電圧をかけたとき、不純物の濃い接合では空乏層が非常に薄くなり、強い電界によって価電子帯の電子がトンネル効果でバンドギャップをすり抜けて伝導帯へ移り、急に大きな電流が流れ始める現象です。1934年にこの現象を理論的に説明したクラレンス・ツェナーの名前から来ています。
ツェナー降伏は、両側の不純物が濃い接合で、おおむね5V程度より低い電圧で起こります。それより高い電圧では、主にアバランシェ降伏(なだれ降伏)が起こります。2つは温度による変わり方が逆で、ツェナー降伏は温度が上がるとバンドギャップが狭くなるため降伏電圧が下がり(負の温度係数)、アバランシェ降伏は格子の振動で電子が加速しにくくなるため降伏電圧が上がります(正の温度係数)。
降伏しても素子が壊れるわけではなく、電流を制限すれば、電流が変わっても電圧がほぼ一定に保たれます。この性質を使って一定の電圧を作るのがツェナーダイオード(定電圧ダイオード)です。製品名としては、アバランシェ降伏を使うものも含めてツェナーダイオードと呼ばれ、5〜6V付近では両方の温度係数が打ち消し合い、温度で電圧が変わりにくくなります。