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最終更新 2026-10-28

衝突電離とは(インパクトイオン化)

Impact Ionization

衝突電離(インパクトイオン化)とは、強い電界で大きなエネルギーを得たキャリアが原子にぶつかり、新しい電子と正孔の組を作る現象です。電界が強いほど急激に起こりやすくなり、連鎖するとアバランシェ降伏になります。微細なMOSFETでは基板電流やホットキャリア劣化、キンク効果の原因になります。

目次5項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 関連用語
  5. 比較・違いを学ぶ

定義・解説

衝突電離(インパクトイオン化)とは、強い電界で大きなエネルギーを得た電子や正孔が、結晶の原子にぶつかり、価電子帯の電子を伝導帯へたたき上げて、新しい電子と正孔の組を作る現象です。キャリアを作るには、最低でもバンドギャップより大きなエネルギーが必要で、シリコンではおよそ1.5倍程度のエネルギーで起こり始めます。

1つのキャリアが1cm進む間に何回衝突電離を起こすかを衝突電離係数と呼び、電界が強いほど急激に大きくなります。衝突電離が連鎖して電流が際限なく増えるのがアバランシェ降伏で、パワー半導体の耐圧の限界を決めます。バンドギャップの大きいSiCやGaNでは、衝突電離を起こすのに大きなエネルギーが必要なため、より強い電界まで耐えられます。

微細なMOSFETでは、ドレインの近くの強い電界で衝突電離が起こり、できた正孔が基板へ流れる基板電流になります。この基板電流は、ホットキャリアによる劣化の目安として測られます。SOIのトランジスタでは、できた正孔が浮いたボディにたまって特性が急に変わるキンク効果の原因にもなります。一方、アバランシェフォトダイオードは、衝突電離による増倍を利用して弱い光を検出します。

図解

強い電界、キャリアの加速、原子への衝突、電子と正孔の組の生成までの衝突電離の流れ

図をタップで2倍に拡大

衝突電離係数は電界が強いほど急激に大きくなる。

よくある質問(FAQ)

衝突電離とアバランシェ降伏の関係は?
衝突電離は1回ずつの「ぶつかってキャリアを作る」現象で、それが連鎖して電流が急に増える状態がアバランシェ降伏です。電界が強くなるほど衝突電離係数が急に大きくなり、空乏層を通る間に作られるキャリアの数が無限大に近づく電圧が降伏電圧になります。
MOSFETの基板電流とは何ですか?
nMOSでドレインの近くの強い電界で衝突電離が起こると、できた電子はドレインへ、正孔は基板へ流れます。この基板へ流れる電流が基板電流で、ホットキャリアがどれだけ発生しているかの目安になり、ホットキャリアによる劣化の評価に使われます。

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