ESD耐性試験とは、静電気放電(ElectroStatic Discharge)に対するデバイスの耐性を評価する試験です。人体や装置に帯電した静電気がデバイスの端子に流れ込むと、ゲート絶縁膜の破壊や接合部の溶融といった一瞬の破壊が起こるため、どの程度の放電まで耐えるかを規格化された条件で測定します。
主要なモデルは2つあります。HBM(Human Body Model:人体モデル)は、帯電した人がデバイスに触れる状況を模擬し、100pFのコンデンサを1.5kΩ経由で放電させます。放電時間はマイクロ秒オーダーで比較的緩やかです。CDM(Charged Device Model:デバイス帯電モデル)は、デバイス自身が搬送中の摩擦で帯電し、接地物に触れた瞬間に放電する状況を模擬します。こちらは放電経路のインピーダンスが極めて低く、ナノ秒オーダーで数アンペアの電流が流れます。
現代の量産現場ではCDMのほうが重要視されます。人体からの放電は作業者のリストストラップやイオナイザといった管理で防げますが、自動搬送されるデバイス自身の帯電は避けにくいためです。微細化に伴ってゲート絶縁膜が薄くなり、短時間の大電流に対する耐性が下がっていることも背景にあります。
デバイス側の対策は、入出力端子にESD保護回路を設けることです。ダイオードやGGNMOS(ゲート接地NMOS)で放電経路を作り、内部回路に電流が流れ込む前に電荷を逃がします。ただし保護回路は寄生容量として高速信号の特性を劣化させるため、高周波・高速インターフェースでは保護能力と信号品質のトレードオフが設計上の難題になります。
評価は専用のESDシミュレータで規定電圧まで段階的に印加し、リーク電流の変化で破壊を判定します。合格レベルはHBMで数kV、CDMで数百V級が目安ですが、要求値は用途と製品世代によって変わります。関連する現象にラッチアップがあり、こちらは別の規格で評価されます。