フローティングゾーン法(FZ法:Float Zone Process、浮遊帯溶融法)は、ルツボを使わずにシリコン単結晶を成長させる結晶製造技術です。多結晶シリコン棒を縦に保持し、高周波誘導コイルで局所的に溶融帯(メルトゾーン)を作り、それを棒の一端から他端へゆっくり移動させることで、溶けて再凝固する過程で単結晶化させ、同時に不純物を一方向へ掃き寄せて精製します。
FZ法最大の特徴は、石英ルツボに触れないため酸素・金属不純物の混入が極めて少なく、CZ法より高純度・高抵抗率の結晶が得られることです。少数キャリア寿命が長く、高耐圧・低損失が求められるパワー半導体(IGBT・サイリスタ・ダイオード)や、放射線検出器、高周波デバイス用基板に適しています。
一方で、ルツボ支持がないため大口径化が難しく、現状では主に150mm前後までが中心で、300mmのような大口径はCZ法が担います。また帯溶融による精製(ゾーンリファイニング)の原理を利用するため、極めて高純度な原料棒と精密な温度制御が必要で、製造コストはCZ法より高くなります。
FZウェハは、酸素フリー・高抵抗率という他法で代替しにくい特性から、パワーエレクトロニクスや検出器分野で不可欠な存在です。供給は信越化学工業・SUMCOなどが担い、用途特性に応じてCZ法ウェハと明確に使い分けられています。EV・再生可能エネルギー向けパワーデバイス需要の拡大が、FZウェハの重要性を高めています。