オージェ再結合とは、電子と正孔が再結合するとき、そのエネルギーを光や熱として出すのではなく、近くにいる3つ目のキャリア(電子または正孔)に渡し、そのキャリアを高いエネルギーに押し上げる再結合の仕組みです。押し上げられたキャリアは、やがて格子の振動でエネルギーを失い、最終的には熱になります。フランスの物理学者オージェが見つけたオージェ効果に由来します。
3つのキャリアがかかわるため、オージェ再結合の速さはキャリアの密度の3乗に比例し、キャリアが多いほど急激に強くなります。そのため、不純物を非常に多く加えた層や、大きな電流を流してキャリアを大量に注入している状態で主な再結合になります。シリコンでは、キャリアの密度が10¹⁸cm⁻³を超えるあたりから寿命を大きく縮めます。
オージェ再結合は、光を出さずにエネルギーを失う非放射の再結合であるため、発光デバイスの効率を下げます。青色や白色のLEDで、電流を増やすと発光の効率が下がる現象(効率ドループ)の主な原因の1つと考えられています。太陽電池では、不純物の濃い表面の層や、高い効率の結晶シリコン太陽電池の理論的な限界を決める要因の1つです。