面心立方格子(FCC:Face-Centered Cubic)とは、立方体の8つの角と、6つの面の中心に原子が並んだ結晶の構造です。単位格子(立方体1個)に含まれる原子の数は、角の原子が1/8×8=1個、面の中心の原子が1/2×6=3個で、合計4個です。1つの原子が接している最も近い原子の数(配位数)は12で、空間に占める原子の割合(充填率)は約74%と、球を最も密に詰めた形の1つです。
面心立方格子をとる金属には、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、白金などがあります。原子の面がすべりやすく、柔らかく延びやすい(延性が高い)ものが多いのが特徴です。半導体の配線に使われる銅やアルミニウム、ボンディングワイヤの金や銅は、いずれもこの構造です。
シリコンのダイヤモンド構造は、面心立方格子を2つ、立方体の対角線の1/4だけずらして重ねた構造で、骨組みは面心立方格子です。GaAsなどの閃亜鉛鉱構造も同じ骨組みで、2種類の原子が交互に並びます。そのため、シリコンの結晶の面や方向を表すミラー指数や、X線回折で現れる面の組み合わせは、面心立方格子の性質に従います。